第22話 連休初日
小島が風邪から回復した直後、ゴールデンウィークに入った。普通に過ごしてたら、あっという間にもうゴールデンウィークも後半の4連休だ。
俺は前田紗栄子のボディガードをしているとはいえ、最大の目標は学年1位、つまり打倒・前田紗栄子だ。そのためにはこの連休を最大限に活用する。すなわち、家から一歩も出ずに勉強に専念するのだ。
だが、おそらく前田紗栄子も同様に勉強しているはずだ。だから負けるわけにはいかない。
と思ったのだが、この連休初日の午前中であっさり勉強に飽きてきた。
昼飯を食べたあと、とりあえず息抜きをすることにする。
俺はいつもやっているスマホのリズムゲームを遊び出す。新しい曲が難しく、なかなかコンプリートできない。すっかり夢中になってやっていたらもう夕方になっていた。
はぁ。だめだな、これでは。前田紗栄子に勝てない。
だが、前田さんは今日も本当に勉強しているのだろうか。気になる。
俺は前田さんにメッセージを送ってみることにした。
蒼『前田さん、今日も一日中勉強してるの?』
しばらく経ってから返事が返ってきた。
紗栄子『うん。してるよ』
やはり、勉強していたか。俺は半日サボってしまったからその分、差が付いてしまった。
これでは連休明けた後にある中間テストで勝てるわけがない。
しかし、前田さんは連休全てで勉強しているのだろうか。息抜きは小説ぐらいだと言っていたが聞いてみた。
蒼『連休は毎日勉強?』
紗栄子『うん。でも1日だけ有紀と遊びに行くよ』
なに! 勉強しない日があるのか。じゃあ、その分を俺が勉強すれば今日の分は取り返せる。
やる気が出てきた。
「お兄、なにニヤけてるの?」
気がついたら妹の
「こら、勝手に開けるな。なんの用だ?」
「ごはんできたよ」
「ああ、そうか。今行く」
「でも、お兄がニヤけてるなんて久しぶり見た。もしかして、新しい彼女できた?」
「できねえよ」
「そっか。でも好きな人はできたんでしょ。また、朋美さんみたいなギャル?」
「ギャルじゃねーよ。朋美のことは言うなっていったろ」
「へぇー。ギャルじゃないんだ。じゃあ清楚系?」
「まあな。って違うわ! そんなんじゃないから」
「わかりやす。会うの楽しみにしてるね」
「うるせえ」
うちの妹はほんとに生意気だ。
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