第18話 ボディガード復活

 休み時間、小島有紀から早速メッセージが来た。何だろう。


 有紀『で、いつ告るの?』


「はぁ?」


 思わず大声を出してしまい、みんなの注目を浴びてしまった。小島がニヤニヤしながら俺の方を見ている。

 無視してメッセージを返す。


 蒼『告らねえよ』


 有紀『なんで?』


 蒼『ざまぁのときの反応見ただろ。俺と朋美の話は完全に他人事という感じだった』


 有紀『確かに。中里は恋愛対象というよりはコンテンツとして見られてるね』


 蒼『俺は恋愛リアリティショーかよ。でもそんな感じだよな』


 有紀『前途多難ですな』


 蒼『応援してくれよ』


 有紀『応援はしないよ。あくまで紗栄子次第だから。私は紗栄子の味方』


「そうだよなあ」


 ふと声が出てしまう。

 小島の方を見るとなぜか偉そうな顔だった。


◇◇◇


 ――その日の放課後。今日も食堂へ向かう。ただ、いつもと違うのは前田さんが俺の席まで迎えに来たことだ。


「中里君、そろそろ……」


「ああ、そうだな」


 俺はあわてて席を立った。前田さん、俺がちゃんとボディガードに来るのか、不安だったのかな。


 廊下に出て、後ろをついていこうとすると、前田さんは横に並んできた。


「一緒に行こうよ」


「あぁ。悪い」


 俺は前田さんと並んで食堂へ向かう。しかし、周りの目が痛い。陰キャどもがにらんでくる。


 食堂に到着し、前田さんの隣に座る。すると、三枝さえぐさがやってきた。


「中里、お前、ボディガード辞めたんじゃ無かったのか?」


「辞めてねーよ。これからも続ける」


 俺ははっきりと言った。それを聞いた前田さんの表情は心なしか嬉しそうだった。


 この日も相変わらず質問が多かったが、俺はそれを横取りして教えるいつもの仕事ができていた。


「中里、復活したみたいだな」


 名前も知らない男子から声を掛けられる。


「まあな」


「昨日、元気なかったからちょっと心配したぞ」


「そ、そうか。悪いな」


「顔色もゾンビみたいだったしな」


「それはいつものことだ」


 そうやって忙しい時間を送っていると小島がやってきた。もう、そんな時間か、と思って時計を見るといつもよりだいぶ早い。


「紗栄子、今日は早めに帰るんだけど」


「あ、そうなんだ。じゃあ、私も帰るね」


 前田さんは片付けを始めた。それを見て、周りの男子達も片付け始める。お前ら、露骨だぞ。と思いつつ、俺も片付け始めた。俺はボディガードなんだから前田さんが帰るなら一緒に帰るのは当然だ。



 帰り道、小島の元気が無い。いつもならもっとにぎやかだ。


「小島、どうした? 恋の悩みか?」


「それはあんたでしょ。違うわよ。ちょっと体調悪いだけ」


「有紀、大丈夫?」


 前田さんが声を掛ける。


「うん、ちょっと体がきつくて。部活も早退したんだ」


「そっか。無理しないで。ゆっくり行こうか」


「ありがと」


 小島が弱っている姿なんて初めて見たな。少し顔も赤いように見える。大丈夫だろうか。


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