第15話 おはよう

「大地~!起きなさ~い!」

母さんがやけに大きな声で起こしてくる。

時計を見てみると…うん?まだ全然余裕あるじゃん。もう少し寝よう。


そう思いもう一度夢の世界へ旅立とうとした

時だった。

「葵ちゃんが来てくれてるわよ~!」


…え?葵ちゃん?…ってなんで山口さんが家に来てるんだ~!

「分かったっ!すぐ行く!」

俺は早着替えするかのように制服に着替え、

リビングに向かった。


「おはよう、山下君」

「お、おはよう山口さん」

「ごめんね、急に来ちゃって。山下君と一緒に学校行けたら嬉しいなぁと思って」

「あらあら~♪良かったわね~大地!」

ニコニコしている母さんは放っておくとして

まさか山口さんが一緒に行こうと言ってくれるとはな。田中君が知ったらめちゃくちゃ羨ましがるだろうな~。

「じゃあ行こうか」

「あっ、山下君。お母さん朝食用意してくれてるよ。ちゃんと食べないと」

「そうだね。すぐ食べるからちょっとだけ待ってて」

「ゆっくりでいいよ。まだ時間余裕あるし」

「良かったら葵ちゃんもどう?」

「ありがとうございます。でも朝食べてきたのでお腹いっぱいで」

「そうなのね~!良かったらコーヒーだけでも飲んでって~」

「ありがとうございます。じゃあコーヒー頂きたいです」

「は~い!ちょっと待っててね~」


「座って待ってるといいよ」

「ありがとう、山下君。」

不思議な光景だな。朝食を食べてる俺の前に座っている山口さん。


「お待たせ~♪」

母さんがコーヒーを持ってきた。


「ありがとうございますっ!」

「口に合えばいいんだけどね~」

「いただきます。…ん!とっても美味しいです!」

「あら~!良かったわ~!毎日来てほしいぐらいだわ!大地もちゃんと起きてくるし~!」

「母さん!余計な事言わなくていいから!」

「あらあら~!ごめんなさいね~♪」


「いってらっしゃ~い!葵ちゃん!大地をよろしくね~♪」


「は~い!いってきます!」

山口さんが元気よく手を振っている。


…母さん、大声で言うのはやめてくれ。

恥ずかしすぎる。


「行こっ!山下君!」

「お、ちょっ…」


俺は山口さんに手を握られながら学校へと向かうのだった。

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父さん、母さんアシストいらんよ! モッピー @moppi0102

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