第13話 まさかの…3

「じ、じゃあどうぞ」

「お、お邪魔します」

山口さんの部屋に入ったのだが、いかにも女の子!というような部屋だった。

ここまでの展開が急すぎて俺の頭は軽くパニックになっていた。


「ごめんねっ!お母さんが騒がしくて!」

「い、いや!全然っ!」

…謎の緊張が俺達を支配した。そもそも今日会ったばかりでクラスも違うので何を話したらいいのかよく分からない。

まぁ、何か話してみるしかないか。


「部屋可愛いね!」

「そ、そうかなっ!ありがと!」

…会話終了ー!あれ、俺って話すのこんなに下手だったっけ?


「そういえば山下君って転校してきたばっかりなんだよね?」

「うん」

「勉強とか大丈夫そう?」

「実は…結構キツいんだよね。前の学校より進むスピードが早くてさ」


俺が転校してきた学校は、それなりに進学校で以前通っていた学校より授業の進むスピードが早い。なので、ちょっと苦戦している。


「それならさ、良かったら一緒に勉強しない?」

「え?いいの?」

「うん!一緒にやれば分からない所も教えあったり出来るでしょ?」

「ありがとう。それならお願いしようかな」


「うんっ!今日課題とかある?」

「あー。あるわ…」

「私も。じゃあ早速一緒にやろっか!」

「おう」


教えあうというより、俺が山口さんに教えてもらう形になってしまったがすごく分かりやすく教えてくれたおかげで、課題を予定より早く終わらせる事ができた。


「本当に助かったよ。ありがとう山口さん」

「こちらこそっ!いつもより集中して出来たよ!」


「じゃあ俺そろそろ帰るね」

そう言って帰ろうとした時だった。


トントン。部屋がノックされた。

「葵ー。ちょっといい?」

「いいよー」

山口さんのお母さんが部屋に入ってきた。


「あら~!勉強頑張ってたのね!

てっきり…フフ」

「ち、ちょっとお母さんっ!」

山口さんが顔を真っ赤にして俯いている。


「では俺はこれで」

改めて帰ろうとした時だった。

「あ、大地君!夜ご飯食べてって!

大地君のお母さんにもちゃんと言ってあるからっ!」


…えっ?夜ご飯をまさかの山口さんの家で食べる事になったのだった。

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