第10話 お礼3

山口さんに手を掴まれながら連れてこられたのは空き教室だった。

「この教室使われてないの?」

「そっ!ここはね~生徒会が備品なんかを置いておく用に空けてあるんだけどね。備品はほとんど生徒会室に置いてあるからここはほとんど使ってないんだ~。だからゆっくりお昼食べたい時はここを使ってるんだよね~」

鍵を手で回しながら山口さんは笑っていた。


「っていうか山口さん生徒会に入ってたんだね」

「そだよ~!山下君のクラスだと京香も入ってるよ」

そういえば斉藤さん生徒会に入ってるって言ってたっけ。

「あ、でもね!ここはほとんど私しか使ってないんだ~!私備品管理担当してるから!」

にっしっしと笑いながら山口さんは椅子に座ってお弁当箱を開きだした。

「食べよっ!」

俺も山口さんの前に座りお弁当箱を開いた。


「うわ~!山下君のお弁当美味しそうだねっ!」

「母さんが作ってくれてるんだ。っていうか山口さんのお弁当も美味しそうだね」

「自分で作ってるから美味しいのかよく分かんないんだけどね~」


「へ~!自分で作ってるんだ!スゴいね!」

「全然だよ~。あ!良かったらさ、私のお弁当のおかず少し食べてみてくれないかなぁ?いつも自分で食べてるだけだから他の人の意見を聞いてみたいんだ~」


「俺でよければ。あ、じゃあ良かったら俺のお弁当のおかずも食べてよ!」

「いいの?ありがとう」


山口さんからおかず(唐揚げや卵焼きなど)を

もらったのだがどれも絶品だった。


「どれもめっちゃ美味しいよ!」

「本当?なら良かった。山下君のお弁当のおかずもすっごく美味しいよっ!」


「お腹いっぱいだね!」「だなー。」

「そういえば山下君放課後って何か予定ある?」

「ん?ないよ」

「良かったら一緒に帰らないっ?」

「おう。帰ろうぜ」

「やったっ!じゃあ終わったら山下君のクラスに行くねっ!」

「わかったー」


それからチャイムが鳴ったのでお互いのクラスに戻った。

待てよ。山口さんがクラスに来るって事はまた男子の視線を浴びまくるって事か。

…俺、刺されるんじゃないかな(笑)

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