第9話 お礼2
あれから休み時間の度に田中君が席にやって来て、山口さんがいかに男子と関わらないかという話を聞かせてきた。…正直、どうでもいいのだが田中君は数少ない友達だし仕方なくもう何度目かになる話を聞いていた。
「何回同じ話してるのよ」
斉藤さんが呆れながらやってきた。
「だってすごくないか?あの山口さんがだぞ!」
「田中君の話はさておき山口さんて男子と話さないって本当なの?」
斉藤さんなら正確な情報を持っているはずなので彼女に聞いてみる事にした。
「うーん、話さないって訳じゃないんだけどね。必要最低限!って感じかな」
「へー」
「だから正直私も驚いたよ!山下君転校してきたばっかりなのに!」
…あんまり嬉しい事ではないけどな。クラス中の視線が俺に突き刺さってきてるしね。
そんなこんなで時間は過ぎていき、お昼ご飯の時間になった。
ん?なんか廊下が騒がしいな。
あ!山口さんだ!こっちに手振ってるじゃん。弁当箱を持って急いで廊下に出た。
「ごめん、山口さん!待たせちゃったね」
「うんうん、全然大丈夫だよ!」
…っていうか周りの視線がスゴいな。
特に男子の。
「教室だとちょっと騒がしいかな。私のとっておきの場所へ案内してあげる!そこで一緒にお昼食べよっ!」
そう言って山口さんは俺の手を掴んできた。
…ちょいちょい!手を繋いでるみたいになってるよー!
周りの視線が痛すぎて俺は思わず目を閉じたのだった。
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