第4話 転校初日4

そんなこんなで昼食も終わり、あっという間に下校時刻になった。

「じゃーなー山下!」

「じゃあなー」

田中君はバスケ部に所属しているらしい。

実力はエース級だそうだ(本人談)


「またね!山下君!」 

「またなー」

斉藤さんは生徒会に所属しているとの事だ。

うん、優秀だなー。


ちなみにこの学校では部活動などへの参加は

強制ではない。

なので俺は帰宅部に入りたいと思う。

…何でかって?大した理由はない。

帰ってちょっと勉強してゲームをする。そしてのんびりテレビを観たり、スマホをいじったりする。そんな風に過ごしたいので、俺は速攻で下校する。

そう思っていたのだが、渡したい書類があるから職員室に来てほしいと田中先生に言われてしまい速攻下校作戦は失敗した。


「失礼します」

職員室に入ると田中先生が「こっち~」と

手招きしていた。

「自己紹介ちょっと地味だったんじゃな~い?」

田中先生はちょっとからかうように言ってきた。

「まさか本当に俺が自己紹介でギャグやると思ってたんですか?」

「うん」

…うんって、マジかよこの先生。

俺、ちょっと怖いよ。うん。

「機会があったら披露してね!」

…機会があっても絶対やらん。

「これ、書類。お家の人にサインとハンコもらってね」

「分かりました。改めてこれからよろしくお願いします」

「うん!困った事があったら何でも言ってね!」

「ありがとうございます」


職員室を後にした俺は、帰ろうと下駄箱に向かっていたのだが、落ちているハンカチが目にとまった。


周りに人がいなかったので、もう一度職員室に向かった。

「失礼します」

「あれ、どうしたの?山下君?」

田中先生が今しがた出ていった俺がまた戻ってきたので、不思議そうに声をかけてきた。


「玄関の所でこれを拾ったので届けに来ました」

そう言って拾ったハンカチを田中先生に渡した。

「あら~!ありがとう、山下君!」

「いえ。では俺はこれで」

「は~い。気をつけて帰ってね~」


それから俺は、速攻で下校したのだった。

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