第3話 転校初日3

さて無事に席に着いてからの時間経過は

早かった。横の座席は女子だったのだが、

会話が全く広がらなかった…。

なんなら、ちょっと避けられ気味だ…。

大人しいタイプの子なのか俺がダメなのか…

後者なら辛いね!ハハハ…。

そして前の座席は男子だったのだが、彼ともコミュニケーションをとるのに失敗した。


…あれ、これはもしかして転校デビュー失敗したのか?やべぇよ、やべぇよ!


休み時間になっても全く誰も話しかけてきてくれる気配もなかった。


そして昼休み、食堂に行ってみようかそれとも購買に行ってみようか考えていた所、

「山下君、良かったら一緒にご飯食べない?」

ある男女が声をかけてきた。

「俺は田中拓海よろしくな!」

「私は斉藤京香よろしくね!」


「お、おう。よろしく!」

食堂がオススメという事なので2人と一緒に向かう事になった。


「あのさぁ、ちょっと聞きたいんだけど

俺ってもしかして避けられたりするのかな?

話しかけてきてくれたのって2人が初めてなんだよな」

俺がそう言うと、田中拓海くんは笑いながら

「あ~、なんていうか顔が怖かったんだよ、きっと」

「え、どういう事だよ?」

「だってさぁ休み時間の度に目つきがマジでヤバいやつだったからなぁ」

「確かに。ちょっと怖い感じだったよねー」

斉藤京香さんもやんわり同意していた。

…というか、顔が怖いというのは軽くショックかもしれない。笑顔を心がけていたつもりだったからなぁ…。


「ちなみにさぁ、俺の横と前の席の人って大人しいタイプの人?話しかけてみたんだけど全然コミュニケーションとれなくて…。」

不安になったので聞いてみた。

「あー、山下の周りの席の人達は大人しいタイプが多いからなー。気にしなくて大丈夫だぜ!」

「お~!!良かったよ~!!俺気にしてたからよ~!」

「う、うん。良かったね」

いかん、斉藤さんがひいてるよ。


「こほん、それで食堂のオススメは何かな?」

無駄にイケボにして2人に聞いてみた。


「日替わりランチが最高だぜ!」

「うん!オススメだよ!」

イケボは完全にスルーされたが日替わりランチがオススメらしい。

俺は、日替わりランチの食券を購入して食堂のおばちゃんに渡した。

するとあっという間におぼんに乗せて料理がやってきた。

「日替わりお待たせ!」

「ありがとうございます」

料理をカウンターで受け取ると2人も料理を受け取っていた。

ちなみに、田中君はカレーライス、斉藤さんはパスタだ。

「カレーとパスタも美味しいの?」

「おう!マジでウマイぜ!全種類のメニュー制覇するといいぜ」

「うん!どれも美味しいから食べてみて!」

これは食堂に行く機会が増えそうだ。


「「「いただきます」」」


今日の日替わりランチは色々な揚げ物が

入っているのだが、どれもウマイ。

ボリューム満点だし最高だぜ!


「どうよ、ウマイだろ?」

「確かに最高だな!ちょっと話は変わるんだが、2人はなんで俺に話しかけてきてくれたんだ?」

誰も話しかけてきてくれなかったのに、どうしてこの2人が話しかけてきてくれたのか疑問だったので聞いてみた。


「理由かー。強いて言うなら俺も転校生だったからかな」

「田中君も転校してきたの?」

「いや、俺は小学校低学年の時だったんだけどさ。緊張して上手く自己紹介も出来なかったんだ。で、ぼっちになってた所を京香が話しかけてきてくれたんだよ。そこからみんなと話せるようになってさ。だから、山下もすぐに馴染むと思うぞ」


「ありがとう。これから仲良くしてくれ」

「おう!」「うん!」


優しい2人という事は分かったのだが、俺は

ここでちょっとした疑問が出てきた。

「2人は幼なじみって事だよな?」

「まぁそうだなー」「そうだね」

「もしかして付き合ってたりするのか?」


「は、は、は、はぁ??つ、付き合ってなんかねぇよ!なぁ、京香?」

「そ、そうだよ!山下君はな、何を言ってるのかなぁ?」


…ダメだ、分かりやす過ぎる。これは、あれか。お互い好意持ってるのに言えてないパターンか。


2人がくっつけるようにこれからアシストするとしますか!

「そうか、分かった」

「おい、山下なんでニヤニヤしてるんだよ!」

「い、いや別に…ブフッ」

「山下~!」「山下君!」


2人が話しかけてきてくれたおかげで、これから楽しい学校生活が送れそうだな。

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