続 ドリームチーム後編 其の3   遠之 えみ作

「ここまでは信じよう、問題はどうやって侵入できたかと云う事だ」

「俺とチートがローンチに取り入って公式の偵察機を手に入れた。デリヌス星を警護している兵士の信号にウィルスを送り込んで乗っ取り ここまで案内してもらった。

言っちゃ悪いが、脇が甘過ぎるんじゃないか?これで二度目だ、一度目はここぞと云う時にナイトが不具合を起こして引き返してしまったが」

ロッキーが言う不具合とは例の金属片の事である。 脇が甘いと言われても返す言葉もない。だれ彼となく、項垂れ気味のところに 「約束、、、ではないが、襲撃が遅れている」 このスフレの一言で皆ハッと顔を上げ、最優先課題を喚起された。

「俺たちが先遣隊だからだ」 ロッキーの言葉にフブキたちは呼応する様に一歩退いた。勿論、臨戦態勢である。

「おいおい!落ち着け!さっき言ったろ⁉俺たちは反乱軍でローンチの敵だ。

反乱軍の中には食うためにローンチに寝返った連中もかなりいて そいつらが先遣隊をやらされる。つまり…アッという間にアンドロイド化されるのさ。俺たちはそれを逆手に取って寝返ったゴロツキに混じって先遣隊を買って出た。

ローンチの作戦は、俺たちが首尾よく侵入して本部を押さえたら総攻撃を誘導する

シンプルなものだ。どうだ?ここまで聞いて俺たち4人を信用するか⁉ それとも……」

「one minute !!」 それまで沈黙を貫いていたツクシが よく通る声で指を一本立てた。 4人は両腕を広げてイエスの意思表示を示した。

「賭けてみるか?」と、フブキ。「私の造った兵士にウィルス?冗談じゃないわ‼」と、パンジー。「パンジー、今はそれどころじゃ……」と、スフレ。「ローンチはスネークの末裔だ!信用できない‼」と、ハレルヤ。「ハレルヤ、論点がずれてるよ、フブキ、あの4人はモニターで見たスネークの末裔とは違う様な気がする」と、ツクシが言うとサクラが「それは私も感じる」と応じた。 「フブキ、フブキが決めてくれ!僕はフブキの決断に従う。皆は?」 フブキが改めて一人一人の顔を確認しながら見回していた時、ようやく目を覚ました四天王がラボの階段を降りてきた。

基地内の通信はON状態だったので 状況は四天王も把握済である。

「フブキの判断に任せる」 このビッグの一言でジュピター、マーキュリー、ムーンが揃って頷いた。

「いい判断だ!いや、我々にとっても‼」と、ロッキーが拍手しながら言った。

「これから本格的な戦闘が始まる、先ず、ロボット兵とドローンが来る。頭はカラッポだがとにかくぶっ放してくる。 「アンドロイドは何割?」ハレルヤの問いにロッキーは 「半々だな。どっちにしろ先ず最初に飛んでくるのがロボット兵だ。ローンチはロボット兵とドローンだけで60%この惑星を制御できると踏んでいる。二番手がアンドロイド、ナニか問題か?」  「魔法は生命のない対象には通じない」「知ってるさ!ローンチの傍で散々見て来たんだ。と、いう事はアンドロイドには有効って訳ね!」 「つまり、、、それは…つまり…」「脳だけ取り出してアンドロイド化してるのさ。ローンチがこの惑星に侵略したら最初にやるのがデリヌス星人のアンドロイド化だ」

フブキは吐き気がした。スネークの血を受け継いだローンチは どうやら父親を凌ぐ怪物であるらしい。

ロッキーが続けて言った。 「アンドロイドとロボットの見分け方は簡単だ。

アンドロイドは左胸にRの刻印がある。ローンチのRだ 覚えておけ」言い終わると4人は貼り付けただけの刻印を剝ぎ取り 再びデリヌス星の兵士の姿に変換した。

「アナタ以外の3人が話せないのは?」 パンジーがヘルメットを外しながらロッキーに尋ねると件の3人が一斉に空間をなぞり出した。 其々が思い思いに描いたのは 「手術の途中で攻撃を受けて執刀医チームが全員死んだ」 「部品が手に入らなかった」 と、要約すればこんな事である。

パンジーの目が輝く。 「つまり、時間と部品と天才的な頭脳が揃えばいいのね?」

パンジーの思惑を素早く察したロッキーは、ドヤ顔で一人悦に入っているパンジーをさりげなく無視するとフブキに向けて言った。

「俺たちに与えられたタイムリミットは10分を切っている!レデイー‼」

「10分‼‼??? それを先に言いなさいよ―――‼ト――ンチ――ンカ――ン―――‼‼‼」

パンジーの甲高い声が響き渡る中、大将たちは粛々と定位置に動き出した。

どうやら、トンチンカンは先ほど言われた仕返しと無視された腹いせだろう。







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