ドリームチーム後編 其の2      遠之 えみ作

フブキは歩みを止めてもう一度同じ質問を繰り返した。  「機械なのか?それとも…」

「どちらでもない、俺たちはアンドロイドだ!喋るのは俺だけで、さっきも言ったが俺たちは敵じゃない!」 「それをどう証明する?」 「こうなったいきさつを話そう」

其処へ――――「信じちゃ駄目よ‼」 突然基地内に響いたのはパンジーの声だった。全身防弾服を纏い20体の戦闘型兵士を引き連れカーゴポッドで現れた。

途端に四体の侵入兵士の左腕がパンジーに向けられる。右腕はフブキたちに焦点を当てたままだ。 「パンジー!交渉は俺に任せてくれ!アクションは話を聞いてからでも遅くはない‼」 そこへ、反論しようと身構えたパンジーの前にスフレがベストタイミングで現れてパンジーを制し、フブキたちは胸をなでおろした。

「いきさつを聞かせてくれ」自分たちはアンドロイドだと言った話せる兵士に「俺は防衛隊長のフブキだ」と、先ず名乗ると「知ってるよ、俺はロッキー、右からナイト、チート、タケルだ。時間がないから先に進むぞ」ロッキーと名乗ったアンドロイドが話し出すと突如、それまでデリヌス星のAI兵士に扮していた四体がツギハギだらけの本来の姿を現した。マッピングしていたらしい。


「俺は……」 130年前に荒廃した地球の片隅で産まれた。当時、地球は支配者側と反乱軍の二極で成り立っていた。俺の両親は科学者で反乱軍のリーダー各だった。

この惑星を最初に発見したのは支配者側のローンチと云う男だったが、この男がいつ、どの様にして支配者の座に就いたのかは誰も知らない。ローンチが玉座を手に入れたと同時に、それまで権勢を振るっていた旧統治者たちは一人残らず始末された。

我々反乱軍は地下深く潜り活動を続けていた。支配者側より先に、この惑星に来る必要に迫られていたが それには莫大なエネルギーと戦艦が必要不可欠だ。

その間にも支配者側との苛烈な戦闘は続いている。そして、何より問題だったのは人間は確実に老いる。俺と今ここにいる仲間たちの親は全員科学者だったが…老人だった。俺たちは産まれた時から科学の英才教育を受けて育ったが、人間の寿命だけはどうにもならなかった。

そこで考えだされたのがアンドロイドだ。アンドロイドの技術自体は俺が産まれる数百年前に確立していたが成功した例はない。それだけ難しい分野なんだ。

しかし俺はどうしても生き延びて現状を打破したかった。反対する両親を説き伏せて

……18歳さ。見ての通り全身武器の塊りだが…ここだけは違う、と云ってロッキーは自分の頭をコツコツ叩いた。  「ちょっと待って‼脳だって老いるわ‼生物学的に無理よ!」 「話をちゃんと聞いていたか⁉ 俺は今130歳!こんな元気な130歳がいるか⁉」 これにはさすがにパンジーもフブキも「ところが実際ここにはゴロゴロ居るんだよ」 とは言えなかった。

「パンジー、頼むから最後まで黙っててくれ!失敬!続きを…」

ロッキーはパンジーを指差し、その指を自分の口元に持っていった。口を閉じてろと云うゼスチャーだ。

「俺の脳の保存は……今はまだ言えないが…」 とにかく無敵の肉体を手に入れた俺は首尾よく敵地に乗り込みローンチの正体を洗った。 やっとの思いでローンチの出生に辿り着いて驚いたよ。あいつは300年以上も前に生まれていたんだ。なのに、見た目は30歳そこそこ…… 俺はその謎を解く為にローンチの警護兵に成りすましてチャンスを窺っていた。そしてその時は突然訪れた。警護兵の中にミスを犯した奴がいてローンチの怒りを買った。 いいか⁉笑うなよ⁉ ローンチがミスった兵に向かって こう手をかざした途端……

「こうやって消えたんだろ?それとも別の生物か鉱物に変えられたか?」 ハレルヤ

だった。ハレルヤが手をかざしたのは未だ意識を失ったままの四天王だったが4人共次々姿を消していった。しかし驚くと思ったロッキーは少しも動じず 「話が早いや!さっきの鎖で おや?とは思ったが、つまりローンチはアンタのお仲間と云う事だ」「仲間じゃない! アイツの父親はスネークという魔女の名を汚した怪物だ!」「分かった分かった、仲間じゃないってことね?、続き、いい?」

俺は秘密基地に戻って事のいきさつを話した。今、地球を支配してるのは人間じゃない事、いや、正確に言うとローンチはハイブリッドだな。その怪物はデリヌス星にルーツがある事、あるはずだ。あいつは魔女の仲間、もとい!怪物の血統だ。ローンチの野望はデリヌス星の支配者に治まる事。俺たちは急がなければならなかった。 そんな混乱の中でこの3人が重傷を負った。3人とも肉体はバラバラだったが脳だけは無事だった。俺たちに選択肢はなかった。

ロッキーが不意に口を閉ざした時 後ろに立っていたタケルが左腕を宙に浮かせ空間をなぞった。 「結果…オーライ」 サクラが呟く様に空間の文字を読んだ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る