fight23:いざ、鬼門島へ。
荒れる大海原の日本海、そこに二つの櫂で必死に漕ぐ小舟の一団が居た。
「おい!? 本当に佐渡島の隣にその島があるのかよ!? というか、本当にこんな小舟で大丈夫か!?」
「大丈夫です! この先の潮の流れに乗れば、一直線に早く着きます!」
「はははっ! こんな荒波なんて、如何なる危険な戦場に赴く勇敢なジャーナリストになる私にとって不可能ではないわ! はははっ!」
「呂夢さーーん!? 目が笑ってないどころか、白くなって、うっ、おえぇぇぇぇ!?」
「王児君、この袋で吐いて…あっ、もう、全く誘うならこんな行き当たりばったりにしないでよ!」
きっかけは蓮火が奈緒に自身の実家を紹介しようとし、そこに一心、呂夢、王児が聞き付け、彼ら三人も蓮火の強さを知る為に着いて行ったことに遡る。
早朝五時からの現地集合、東京都のバスで新潟県に直行し、新潟県の漁港で小舟に乗る。
その時点で気付くべきだった。彼女の実家がとんでもない秘境にあるのを。
「何であんなに快晴だったのに、この海域だけ大荒れなんだよ!?」
「我が一族は古くから外敵を避ける為に海流や気候が激しいこの島で日々鍛錬をしたとか。」
「あの、そこかしこに鰭みたいなのがいるのは…?」
「鮫ですよ。ここの海域の鮫は鬼鰐といって、荒波や台風も諸共しない筋骨隆々な身体ですけど、その分飢えて、この小舟や通り掛かる漁船を狙ってまして…」
「もうやだ! 私、お家帰る!」
「大丈夫です! この海流に乗れば一瞬ですから!」
「嫌あぁぁぁぁ!!」
後悔の悲鳴が飛び交う中、海流に乗った小舟はジェットコースター並みであったと皆が感じた。
午後三時、ようやく島に着いた時、呂夢と王児が気絶し、まだ丈夫だった奈緒と一心が彼らを背負い、平然とした蓮火が先導し、砂浜から山道を通っていた。
「あのう、大丈夫ですか?」
「もう、あんな険し過ぎる道のりだったら、早く教えなさい!」
「あう!? すみません…」
「まぁ、これでこいつの強さの一端は分かったよ。」
奈緒に小突かれた蓮火は深々と反省する。
そうこうしている内に山奥にある古くも、立派な大屋敷に着いた一向。
そこでは山奥でも伐採している為か、陽の光に当たり、屋敷の近くに畑が広がっていた。
そんな中、屋敷の扉から着物を着た赤髪赤目の男性が歩き出し、蓮火に拳骨をお見舞いした。
「なっ!?」
「ちょっ!? あなた一体何を!?」
「こんな僻地に連れ込むな、馬鹿娘。そんな危ない真似をするなら、格闘技を辞めろ。」
「痛た…、すみません、お父さん…」
「お父さん!?」
奈緒たちは蓮火の父『鬼門
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