fighter0:鬼門の一族
中国と日本の間にある孤島、鬼門島。そこには鬼神を祀る武道家の一族、"鬼門の一族"が存在した。
彼らは鬼神から伝えられし徒手武術を身に付け、傭兵として歴史の裏から活躍し続けたた。
春秋戦国時代、楚漢戦争、三国時代、源平合戦、安土桃山戦国時代、幕末、世界大戦、それらの闘争を経て、様々な武術を取り入れ、先祖代々の徒手武術を、最古最新の総合武術へと昇華させたのである。
しかし、それは逆に多くの武道家、戦士を葬り、闘争の道を閉ざさせた。
故に、彼らの間では"武道殺し"と呼ばれ、忌み畏れられたのである。
「へぇ、聞いただけでも壮大だけど、それ本当なの? 歴史の裏っていうだけでも十分、ほら話っぽいけど?」
「む〜、本当ですよ。うちの古い倉に始皇帝だとか、劉備だとか、源義経だとか、織田信長だとか、そういう人たちの契約書が代々保管されているんですよ。」
「徒手格闘の傭兵の契約書って、珍し過ぎるわ。分かったわよ、そんなに言うなら信じるわよ。今度、蓮火の家に遊びに来る時に見せてね。」
「はい、絶対に信じて下さいね!」
頬を膨らませ、怒る蓮火を奈緒が宥め、鬼門の一族の伝承を一応信じる事にしたのであった。
「ところで、呂夢と一心は?」
「ああ、呂夢さんなら、今回の戦いを絶対に記事にするんだって息巻いて帰っちゃいました。」
「ああ、あの情報通の悪い癖ね。」
「はい、呂夢さんは喜んでましたけど。一心さんが…」
蓮火は顔を曇らし、それに気付いた奈緒が聞いてみた。
「一心がどうしたの? 何か心配事?」
「ええ、一心さんが奈緒に負けたショックを受けて、何か必要以上に苛立ってました。」
「ああ…、あまり気にしないで。私が不甲斐ないのと一心が意地っ張りなだけだから。」
「そんな!? 今回の闘いでの奈緒は十分立派です! 不甲斐ないで片付けるなんて、そんなの私が認めません!」
奈緒は励まそうとする蓮火に優しく苦笑し、内心では一心のことを気掛かりだった。
「全く、昔っから変わらないんだから。あの強情弟弟子は。」
所変わって、とある廃工場現場に多くの怪しい人だかりが募り、特にリーダーと思われる男は顔に包帯を巻かれながらも、その包帯の裏で荒く息を吐き、眼光に血走らせる。
「てめぇら! いいか、あの女、鬼門蓮火に復讐する為に俺たちは病院を抜け出し、他の不良共も集めさせた! これは聖戦だ! あの女に対する逆襲だ!」
たとえ逆恨みだとしても、復讐の炎が彼女たちの知らない所で牙を向こうとした。
「おいおい、無粋じゃねぇか。二人の武道家の闘いを台無しにする気か?」
その声が現れるまでは。
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