第3話

 ペーパーテストが終わり、番号が呼ばれた順に講堂に行くように言われた。

 最初に呼ばれたのは、何と私!

 皆の注目を浴びた。


 最初に呼ばれたという事は、この教室で受けた者の中で最高点だったって事。やったぁ!!

 因みに、呼ばれなかった人はブレスレットを返してこれにて終了だったはず。


 講堂に向かうと、数人がすでにいた。教室で一位抜けの人達だ。その人たちが私に振り向いて驚いている。

 まあ年齢的にも驚きだろうね。


 来た順に、魔力測定をまず行う。

 数値化ではなく、棒みたいのを握ると中の液体が上昇していって、一定値を越えれば問題ない。

 これは、5歳の時に受けた。この時に、棒の上限まで達して凄く驚かれ、魔法学園に通った方がいいかもと言われたのが、魔法学園の存在を知るきっかけになった。

 今回も上限に達するだろうか。


 魔法学園のは、もっと量を測れるものらしい。

 属性持ちは、属性を持たない者より魔力量が多いらしく、なので最大値が高く設定されているとか。


 「これを握って下さい」


 テーブルに置かれた棒には、無色透明の液体が入っている。属性持ちならこれに色がつく。

 長さは、5歳の時に使ったのと変わらないような気がする。

 合格ラインというか、線があってそれを液体が越えないとダメなのよね。

 まあ、ここに来ている人は危なげなく超える事だろうけどね。


 私は、棒を右手で握った。

 棒の中の液体は、無色透明のまま上昇し合格ラインを超す。そして、同じ速さでどんどんと上昇していく。


 「これは驚いた」


 この学園の先生だと思われる男の人が、私の棒の中の液体を見てそう漏らす。

 今回も液体は、上限に達した。これだけで私は満足だ。

 属性持ちでなくてもこれなら合格するでしょう。

 何せ、魔法を習う学校なのだから。


 魔法学園の本にも、試験で重要なのは学力テストの方だと書いてあった。

 魔法は、天性の物。それは、魔法学園に通う為の資格を得たに過ぎない。魔法博士になる為に入る学校なので、その意欲があるかないかを問う為のテストだと言う。


 こうして全員、魔力測定終了後、属性ごとに分かれて次のテストを行う。一応、全員魔力測定は合格した様子。

 というか、無属性は私だけで、しかも令嬢も私だけだった。


 これからクラス分けの為の魔法テストが行われる。

 それぞれ別の場所で行われるので、このテストは私と先生のマンツーマンとなった。

 ここでは、すべての属性テストを行う。

 テストは、先ほどと同じ棒状の物を握るだけ。それにも線が引いてありそれ以上になれば適性ありって事らしい。


 ただ違うところもあって、それは液体の色だ。赤色なら火属性。青なら水属性らしい。これが上昇し、線より上になる属性がないと不合格だと言われた!

 どうやら無属性は、ここで落とされるみたいね。


 だが結果に驚く事なかれ、全て適性あり。線を越えたのだ! 珍しいと先生は目をキラキラとさせていた。

 得意属性があると、不得意属性もあるのが普通で、不得意属性は使えないらしい。

 そして、得意である属性以外で使えたとしても、ちょっと適性がある程度で、線を越えない。それが属性持ちの特徴だ。

 それに対し無属性は、上昇はすれど線を越える程の扱える属性がない事が多い。つまり色んな属性に反応があっても、線を越えられないって事。

 なので全属性が越えたとなれば珍しい。これは本に書いてあった! 線ギリギリだろうと、全て超えていれば凄いでしょう!

 だから私も、目を輝かすのだった。



 試験を終え、合格通知を持って家へと戻った。

 まだ未成年の私は、お父様に契約書にサインをもらわなくてはならない。


 「な、なんで、合格したんだ」

 「まあ、嘘でしょう」


 お父様と継母は驚愕している。

 驚くのはわかるけど、なぜ受かったんだとはひどく無い?


 「お父様! 凄いでしょう!」


 私は、満面の笑みでそう言った。

 これにサインしてもらわないと、合格したとしても通えない。


 「あ、あなた。祝ってあげましょう」

 「そ、そうだな……」


 やっぱり継母が何を考えているのかわからない。私は、マリーと同学年でなくてもいいらしい。

 でも契約書にはサインしてもらえた。

 ただ、宿舎生活をしたかったのに、10歳だし令嬢だしと反対され、家から通う事に。

 王都まで2時間かかるのになぁ。


 魔法学園には、魔導師の様な制服がある。

 到底ご令嬢が着る様な恰好ではない。制服を見たお父様は愕然としていた。

 まあ魔法学園の生徒など見た事なかったから驚いたのでしょうけど、私は本に載っていたイラストで知っていたので、驚きはしなかったけど。


 制服と一緒に、クラス分け表やこれからの事が書かれた心得の本が届く。

 10歳の私の元には、ご家族へという冊子も入っていた。

 そこには、お子様が家で魔法を使わない様に、目を見張らせていてほしいとかそう言う内容だ。

 ダメだとわかっていても、使いたくなって使う子がいる。わかるわぁ。その気持ち。


 魔法学園には、結界が張ってあり魔法の効果が外へ影響を及ぼす事はない。

 一応、ブレスレットを着用するように書かれてあった。

 試験時に渡されたあれだ。これは、学園の外では魔法を封じるマジックアイテムでもあると書かれてあった。

 学園から帰る時に、先生が付け直していて、これにより先生にしか外せなくなっていたのだ。

 万が一の為に絶対に必要かもね。

 もし魔法を使ってしまえば、罰せられるのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る