第2話
魔法学園とは、名前の通り魔法を学ぶ学校だ。
ここに通う者は普通、嫡男以外の属性持ち。
魔法には、属性が存在していて得意な属性を持った者を属性持ちと言う。
その者達は、魔法学園に通い魔法博士を獲得すれば、魔法貴族という爵位が授与される。それは、個々に与えられるので一代限りの爵位となる。
これは女性でも頂く事ができる爵位よ。
だが私は、無属性。得意属性を持たない一般的な魔力持ち。魔力を持っていたとしても、普通は魔法学園に通おうとは思わない。通っても魔法博士を獲得できない確率が高いからだ。
「ファビア、そこは属性持ちの子が通う学園だ」
「まあいいではありませんか。試験だけでもうけさせてあげれば。マリーなんて、魔力すらないのですもの」
継母が珍しく私をヨイショしている。
いつもは、マリーより劣っていると遠回しに言っているのに。
「うーむ。しかしなぁ」
「受かれば、子爵家なら学費は免除されるのでしょう?」
「そうなのか?」
よく調べてるなぁ。ちょっと違うけどね。
魔法学園は、10歳以上で試験さえ受かれば誰でも通える学園。なので手続きすれば、学費は借入できる。そう後払いできるって事。魔法博士になり、働くようになればお金を返せるからね。
「もしダメだったら次の年に一緒にマリーと通わせましょう」
「そうだな」
お父様は、継母の言葉に納得した。
なるほどね。私が魔法学園を合格できないと思っていて、マリーと同じ学年で通わせるのを許可させる為の口実だったのか。
でもね、打算はあるのよ。
私は、属性持ちではないけど、魔力は桁外れにあるらしい。
実技で受かるのは難しいだろうけど、学力試験で受かって見せるわ。
だってそこ、無属性でも通っている人いるって知ってるもん。
だからこっそり、魔法の勉強をしている。もちろん、使ってではなく、知識として覚える為にね。
魔法は存在しているけど、魔法学園を卒業した者でなければ魔法を使ってはいけない事になっている。
ただ魔力があれば、マジックアイテムが扱えて便利なのよね。
貴族の家には大抵あって、明かりを灯すものや、調理用の火、洗濯した物を乾かす為の温風など便利な物が存在していた。
前世の記憶がある私としては、もっと便利な物を作りたいわけよ。だから将来、魔法博士になってマジックアイテムを作る仕事に就きたいわけ。
継母の後押しもあって私は、魔法学園を受験できるようになった。ただ彼女が何を考えているのかいまいちわからない。
だって私の心配を本当にしているわけがないもの。
私と一緒の学年にマリーを通わせる事にどんな意味があるのか。
まあいいわ。魔法学園に合格すればいいのだから。
◇
10歳になった私は、魔法学園を受験する為に王都に出て来た。この国に魔法学園は一つだけ。それが王都にある。
「お嬢様。ここからは一人で入る事になりますが、大丈夫でございますか?」
「うん。ありがとう。サラサはここで待っていて」
「はい。お待ちしております」
魔法学園の敷地内に入れるのは、学園の生徒と先生。今日だけは、試験を受ける者も入れる。つまり付き添いは入れない。
だからなのか、10歳から受けられるけど私と同じ年の子はいないような気がする。
たぶん、14歳ぐらいの子が多いかも。
実はこの試験、当日に結果が出る。なので、不合格だった場合、普通の貴族学園に入学する事が可能だ。手続きが間に合う。
本来なら私も間に合うけど、まあ落ちたら仕方がないので、マリーと一緒に初等科の貴族学園に通いましょう。
「ファビア・ブレスチャです」
「あら……あなたの受験番号は123番よ」
「ありがとうございます」
そう言って渡されたのは、ブレスレット。これもマジックアイテム。これに色々情報が入っているらしい。
それにしても、全国から来るからもっとたくさんの受験者がいるのかと思ったけど、せいぜい150人くらいかしらね。
属性持ちって少ないのね。
私は、案内されるまま教室へと入った。
まずは、ペーパーテストの学力試験。これに受からないと実技を受けられない。
だから更に10歳で受けに来る子は少ないと思う。
さっきも受付の人が驚いていたものね。
魔法学園の事が書かれた本を読んだところ、ここで二割の人が落ちるらしい。合格点はなんと90点以上!
しかも、100問あるらしい。ほとんどが穴埋め問題で、選ぶ形式の問題はない。
計算式もあるのよねぇ。普通の10歳には難しいはず。
前世の記憶があってよかったわぁ。
辺りを見渡すと30名程の受験者がいた。ひと教室に30名ずつって事ね。その中で私ぐらい幼い人はおらず、令嬢も私だけなんだけど。
思ったより令嬢で受ける人って少ないのね。
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