第8話 再会

 思い出した。しょうとしての記憶を。


 俺は先生に全てを思い出したことを伝えた。その上で母親に会いたいことを伝える。美咲のこともわかっている。病気だってことを。

 美咲は自分の病気が原因で家族の仲が拗れたと責任を感じていたのではないか。だから毎日面会に来てくれたのだと思う。本当は自分だって大変なはずなのに。

 

 面会室に行く。緊張する。決別した母との再会。

扉を開けた。そこには見知った母の姿があった。

「翔、ごめんね。本当にごめんね。こんな大変な思いさせちゃったのは全部私のせいだから。」

「大丈夫。俺、もう大丈夫だから。それより美咲の体調は大丈夫?」

「昨日、天気が悪かったからちょっと調子が悪そうにしていたけど、大丈夫よ。美咲の治療のことはね、伯父さんにも相談して援助してもらえることになったの。後、行政にも相談してみたわ。もっと早く周りの人に相談するべきだったわね。翔一人に背合わせて翔を一人ぼっちにさせてしまってごめんなさい。」

「俺も喧嘩別れみたいな感じにして申し訳なかった。母さんにも。美咲にも。」

「お家に帰ってきな。またみんなでご飯食べよう。」


 それから程なくして、退院が決定した。

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