第7話 雪

 予報通り今日は雪だった。しんしんと降り積もる雪。外は白一色の雪景色だった。綺麗だなと思った。三月に雪が降るなんて珍しいな。

 妹は今日は面会に来なかった。雪が降っているからだと思う。寂しいなと思った。


 夢を見た。

「雪って美味しいのかな?」

少女が言う。小さい頃の美咲だ。

「じゃあ、食べてみようぜ。」

「どうせ食べるならかき氷みたいにしようよ。」

「シロップ?こんな冬に売ってるかな?」

スーパーに行った。シロップはなかった。

「夏じゃねーもん。やっぱ売ってないよ。そのまんま齧ろうぜ。」

その辺にある雪を手で持って齧ってみた。

「どう?うまいか?」

「なんか、味しないし、不味い。」

「まぁかき氷じゃないしな。不味いわ。」

くだらない雪の思い出。でも大切な思い出。


 久々にあいつの声がした。

坂田翔かけるは死ぬ。でも坂田翔しょうは生き続ける。」


 目が覚めた。

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