第2話 日常と死神
俺は余命宣告されてもバイトを辞めることなく、労働に勤しんでいる。いや、そもそも、わけのわからない化け物に余命宣告されて信じるのもおかしな話なんだけど。
家に帰るとあいつがいるのであいつと喋るのが日常になった。
「って感じで今日もミスって怒られたわけ。」
俺は死神に愚痴をこぼす。
「辞めりゃいいじゃん。どうせ死ぬんだし。」
「いいんだよ、別に。なんかよくわかんねーけど自分の決断変えたくないんだ。」
「勤労少年なんだな。」
そんな感じで毎日が過ぎていった。
半月程経っただろうか。ある日、歩道橋を渡っていると老人に声かけられた。
「虹がかかっているよ。」
指さされた先には虹がかかっていた。死ぬ前にこんな景色を見れるのもいいのかもな。
「何、黄昏てるんだよ。」
いつも家にしか出てこないこいつは今日、初めて外に現れた。
「俺、どうして死ぬのかな。」
車の音がやけに聞こえる。今日はいつもよりやかましく聞こえた。ひどく不快だ。道路を見渡す。ふと、疲れたなと思った。
ハッとした。俺は今、死ぬことを考えていた。
もしかしたら俺は俺自身が殺すのではないのだろうか。急に怖くなった。
「君、どうしたんだい。」
警察官に声をかけられた。
「いや、大丈夫です。何でもないんです。」
警察官と目が合うと化け物を見たような目で俺を見ていることに気づいた。その目が怖くて思わず逃げ出した。
全速力で逃げた。俺はどこに向かって何から逃げたいのか。
程なくして俺は大の大人数人に捕まった。
「やめろー!離せー!」
離されることなく車に連行された。
向かう先はわからない。俺は疲れて目を瞑った
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