4日目中
短めです
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おお!オープンキャンパスで見た大学の教室みたいだ!教室前方に大きな黒板と講義台があり、生徒が長机で授業を受けるスタイル。ちょっと大人の階段を登った感じだ。私が授業を受けるわけじゃないけど。
「私はどこに入ればよろしいですか?」
「後ろにいて。何かあったら呼ぶわ」
授業参観の母親ポジか。ここは私渾身の後方腕組み彼女ズラをみなさんに披露せねば!!
「わかりました。授業頑張ってくださいね」
シルファちゃんは無言で頷いた。なんだか表情が硬いな。それに対応もそっけない気がする。
「元気出してください!シルファ様にそんな顔は似合いませんよ」
「ありがと。あたしなら大丈夫よ。あなたこそ授業中居眠りとかしないでよ」
我ながら結構クサいことを言ってしまったな……でも、シルファちゃんが笑ってくれたからいいよね。
学校が始まり、今は昼休憩に入ったが気づいたことが2つある。
1つは、シルファちゃんがあからさまに避けられていること。彼女が座っている前方窓側席の周りだけ人がいない。それに休憩中も誰とも話をしていない。
現に今も教室の隅で1人寂しく弁当を食べている。私が一緒に食べてあげたいが、学校がある時間は付き人が緊急時以外主人に関わるのは禁止されている。どうも生徒の自立を促すためらしい。流石に就任1日目で校則違反を犯すわけにはいかない。どうしたものか……
メアさんがシルファちゃんの心を癒してあげてと言ったのはこのことだろう。なんとか避けられている理由を確かめて解決しなければいけない。私も学校で避けられていた身。今のシルファちゃんを見ていると胸が張り裂けそうになる。
そして2つ目は私に向けられているであろう気持ち悪い視線の数の多さだ。街中でも十分視線を感じてはいたが、教室内は比べ物にならないほどこっちを見る目が多い。特に顔と胸。私は別に男嫌いってわけではなかったんだけど、このクラスの男子から向けられる目には酷い嫌悪感を抱く。己の制欲を隠しきれていない。むしろその欲望をストレートにぶつけてきている。これは立ち回りに気をつけないと本当に身が危ないかもしれない。
結局午後もシルファちゃんはクラスから孤立したまま学校が終わってしまった。担任の話を聞く感じ今は2学期らしいので、日本の学校と同じ周期だと、少なくとも5ヶ月はシルファちゃんはこんな境遇の中学校生活を送っていたかもしれない。
今日からはシルファちゃんをしっかりケアしなくちゃ。私としては彼女の性格や行動のせいで避けられているとは思えない。4日間時間を共にしただけでも、彼女が心優しい少女であるのはよーくわかった。
つまり、原因はクラスメートか彼女の才能、あるいは立場にある可能性があるということ。ここで考えられる原因は2つ。1つは以前言っていた彼女が2属性魔法の使い手である線。もう1つは彼女の容姿が非常に秀でている線。
こっちは私の実体験なのだが、フィクションの世界では、優れた容姿をもつ人間は周りからちやほやされがちだが、現実はそうじゃない。同性からの嫉妬や劣等感、異性からの好奇や下賤な目は時に心を傷つける凶器になりうる。
こんなふうに考えているが、私には当然彼女に直接理由を尋ねる択もある。でも、私はあえてその近道を選ばない。1番大事なのは問題の解決ではない。シルファちゃんの心の曇りを晴らすことだ。その手段が問題の解決であっても、決して目的にしてはいけないのだ。つまり、ここで私の取る行動は1つ。
「帰りましょう、シルファ様」
未だ席を立とうとしないシルファちゃんの両肩にそっと手を置き、できる限り優しい口調で帰宅を促す。
「……そうね」
少し間をあけて答えが返ってきた。彼女がゆっくりを立ち上がったことをみとめて、私は彼女の手を取る。そして、やや早歩き気味でズンズンとシルファちゃんを引っ張った。
「ちょ、ちょっと!」
シルファちゃんが戸惑った声を上げるが気にしない。私は振り返ることなく
「いいから行きますよ!」
と言った。すると、シルファちゃんは私の手をより力強く握り返してきてわたしの耳元に囁きかけてくる。
「や、優しくしてね?」
ん?何か勘違いしてない?ここはかっこよく振り返らずに強引に連れ帰る、そんな展開で行こうと思っていたのだけど、流石に気になったのでシルファちゃんの顔をチラリ。
「なんで顔が赤いのかなシルファちゃん?」
そこにはこれまでを凌駕する勢いで顔が真っ赤に熟れたシルファちゃんが出来上がっていた。一体ナニを想像しているのだろうか……
「佳織ならいいよ?」
だからナニがいいのよ!?わたしはただシルファちゃんを慰めてあげようと思っただけなのに。
「べ、別に何も変わったことはしないわよ、たぶん」
あ、でもこの調子じゃやっぱりダメかも。これからしようとしていたことを思い返して私まで熱くなってしまうのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
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