『ワン力発電』

苺香

第1話

あなたが生まれた時から、あたりまえに存在する電化製品やプラスティック。

それらは、むかしむかしの動物たちの死骸が長い年月を経て自然にできた、石油というもので動いていること、また石油を原料として作られていることを知っていますか。


そして、このままでは、その石油はなくなってしまうみたい。

人間たちはそれらを何とかするために、太陽光発電を開発しました。

けれど、太陽光パネルを設置するには、広い土地が必要。パネルもいつかはゴミになります。


もっと、効率のよいものがないかと考えました。

……見つかりました。

宇宙エネルギーです。

宇宙はだれのもの?

多分、まだ決まってないみたい。


どこの国も自分のものにしたくて、人間たちは喧嘩になりました。

このままでは「戦争」が始まってしまうかもしれません。


ある地方都市の飼い犬がそれに気が付き、自分たちに出来る事はないかと考えました。

“犬になにができるの?”

と思うかもしれません。

ですが、彼らは吠える事が出来るのです。

これまで「むだ吠え」と迷惑に思われていたことなどもね。

「わお~ん。わお~ん」

と鳴きました。

お隣の家の犬も協力しました。

……だって、戦争が始まったら、大好きな飼い主さんと一緒に過ごせない。

お楽しみの”ごはん”だって食べられないかもしれない。

その鳴き声により、エネルギーが生まれました。


うわさを聞きつけた、隣町のハムスターも考えました。駆けまわり、回し車をまわしました。

うさぎたちもぴょんぴょんと跳ねました。

その振動は発電に利用できることが出来ました。


猫達も黙って居眠りしているわけではありません。考えているのです。

飼い主のご主人さんは、いつも威張っていてすぐに怒る。

わざと、柱に爪をたて、柱を傷つけました。カーテンに上りカーテンをぼろぼろに引き裂きました。

案の定、ご主人さんは顔を真っ赤にして怒鳴り散らしています。

その怒りはエネルギーになりました。            

 

ひとつひとつのエネルギーは小さいけれど、沢山集まったので、みんなが救われる程のエネルギーとなりました。

とても、時間がかかったし、飼い主さんたちは、動物たちが何をしているのか、わかってなかったかもしれないけれど。


そう、人間たちは気づいてなかったようですが、エネルギー問題が解決し、戦争を避ける事ができ、世界は平和になりました。


動物たちは、今日も、大好きな飼い主さんの周りを走り回り、おいしいご飯を食べる事が出来ています。

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『ワン力発電』 苺香 @mochabooks

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