勇者と魔王は紙一重

戀月 唯(rengetsu yu_i)

プロローグ 

生まれつきの悪と生まれつきの善。


君はどう思う?

生まれつき全てが決まっているという仕組みロジックを。


僕は……、間違っていないと思う。


認めたくないけど、

身を焦がすこのひずんだ思いが、

君をころしたい想いが、

全て物語ってしまっている。


僕はきっと生まれつき、堕ちている方なんだと思う。

世の中では悪と呼ばれる方。


君を求めれば求めるほど、

沼のような闇に引きづり込まれる。

考えたくもない思考に飲み込まれる。


どうしようもなく、君を傷つけたくないのに、

君を食い散らかしたい。

愛したいのに殺したい。


本能的に求め方が狂っている。

これを悪と呼ばずして、何と呼ぼうか。


きっと流れる血はルビーよりも綺麗で、

ほじ繰り出した目玉はきっと真珠のようなんだろう……。

欲しい。美しい君の全てが欲しい。

壊して崩して、全て僕だけのものにしたい。


あぁ、なんておぞましい望みなのだろう……。


こんなこと、君も望んでないだろうに。

僕だって理性では決して望んでいない。


君にはいつも笑っていてほしい。

幸せだと目を細めて微笑んでいてほしい。


神様、どうか、理性があるうちは、

彼女を見守らせてくれないかな。

もし無理なら彼女が安全に暮らせる世の中を作るまでいい。


お願いだ。

どうかそれまで・・・。


この欲望こいごころはそっと胸の奥から溢れないように封をするから……。


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勇者と魔王は紙一重 戀月 唯(rengetsu yu_i) @solus

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