【KAC20246】黒猫サファイアの星に願いを !

るしあん @猫部

サファイアも七之助の子供には甘々なようで……


【サファイアside】



 トリ逢えずトリあえず つのる気持ちは あこがれか はねふるトリに 届かぬ想い



「ねえ、サファイア……

 お兄ちゃん七之助は何をしているの ?」


 さくら猫又が、七之助のことを心配して聞いてきた。


「七之助が、下手な短歌を詠んでいるだけだから心配しなくても大丈夫だよ、さくら 」


 料理は上手い七之助だけど、趣味の小説を書く才能は残念ながら……流石のボクも、これ以上は言えない、なんて言えない !



 七之助と栞ちゃんの双子の子供のウチの一人である八重は、可愛い物が大好きだ。

 部屋には、沢山のぬいぐるみやグッズであふれている。

 そんな八重が欲しがっても手に入れることが出来ないグッズが、Web小説サイトのカクヨム、トリさんグッズだ。

 非売品だから買うことも出来ない。

 コンテストやイベントで当たらないと、カクヨムのトリさんはもらえないのだ。

 つまり、今回のKACで全てのお題に挑戦して、皆勤賞を狙うしか、七之助にはチャンスが無いワケ。

 それも抽選で百名しか、トリさんのぬいぐるみは当たらない。

 このさい、ブックカバーでも良いのだが、七之助のクジ運は非常に少ないから絶望しかない。

 ボク達、猫又や猫魈の運を引き寄せる招き猫の力なら可能なんだけど、……


「サファイア……ボク、猫又の運を引き寄せる力が残って無いよ 」


 さくら三毛猫の言う通り、この間、七之助に宝くじを当てて貰うのに力を使ったばかりなんだ。

 当たった当選金は、フグ料理に化けてボク達のおなかの中に消えた。

 だから、猫力が使え無いから、トリさんのぬいぐるみを当てることが出来ないんだ。


「お父さん。 わたし、このでも良いよ 」


 無邪気に笑いながらも、七之助に気を使っている八重。

 反対に七之助と顔は引きつっている。

 八重は知らない、そのカードはランカー賞の賞品だと云うことを。

 上位、五名しか貰えない !

 八回のお題があるから、合計で四十名の人が当たるワケだ。

 一度当たると、次は対象外に成るらしいから、実力や人気の作者さんはランカー賞が当たる可能性もあるけれど、七之助は下から数えた方が早いド底辺の作者だから無理だろうなぁ。


 もし、七之助がランカー賞を授賞出来たなら、鼻からスパゲッティを食べても良いくらいだ。


「そうだ ! トリさんのぬいぐるみが当たらないなら、作れば良いじゃないか !

 あの下克上した女の子だって頑張ったんだから、俺も八重の為に頑張ろう ! 」


 七之助は、妙案が浮かんだらしく出かけて行った。



 ◇◇◇◇


 手先の器用な七之助は、手作りのぬいぐるみを作りはじめた。


 スマホで調べながら、チクチク縫っている。

 瞬く間に、トリさんのぬいぐるみが出来上がっていくんだけど、……


「ねえ、サファイア。 お兄ちゃん七之助、上手だねぇ~ 」


 七之助贔屓ひいきのさくらは褒め称えているけど、アレはどう見てもメガネをかけたフクロウにしか見えない。

 カクヨムのトリさんはスズメだよね、たぶん。

 完全に勘違い、トリ違いを起こしている七之助。


 近くで、八重も食い入るように見ている。

 興味津々なんだろうね。

 やがて、……


、完成 ! トリだけにな 」


 七之助のオヤジギャグをスルーした八重は喜んでいた。

 少なくとも表面上は。



 あぁ、神様、仏様、運営様。

 どうか、七之助……八重にトリさんグッズを当ててください !


 丁度見た流れ星に願いを込めた、ボクとさくらだった。


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