6.「日本棋院の段位基準は甘々だよね、という話」
高校入学後は、囲碁よりも勉強に力を入れようと考えていたため、囲碁教室には通いませんでした。
ただ、学校に囲碁部があればせっかくなので入部しようと考えてはいたものの、残念ながらなかったので、高校三年間は囲碁をほとんど打っていない期間でした。“ほとんど”と書いたのは、年に数回ほどは打つ機会があったからです。
ジュニア囲碁スクールをやめてからも、日本棋院からは定期的にイベント案内等の郵送物が送られてきました。
夏季休暇や冬期休暇など、長期休みの期間に開催される「〇休み子ども囲碁塾」の案内が届くと、たまには囲碁でも打とうかと思い出して定期的に参加していました。参加者層は小学生から中学生ぐらいが一番多かった気がしますが、高校生まで参加可能なイベントでした(なお、この囲碁塾系統のイベントには中学時代から時々参加していました)。
囲碁塾は確か、一期間につき五日間。塾といってもそれほど本格的なものではなく、最初の二十分か三十分ほどプロ棋士の講義があるのみで、残り時間は受講生同士で対局するだけです。
一般的なアマチュアの大会は持ち時間がひとり四十分のケースが多いですが、子ども囲碁塾は持ち時間が二十分しかなかったため、今にして思うとかなりハイペースで打つことが求められていました……が、子どもというのは往々にして着手の早い生き物です。私も例に漏れずその類であったため、持ち時間が足りなくて苦労する、といったことはあまりなかったように思います。
子ども囲碁塾がどのくらいのレベルだったかは例によって記憶の曖昧なところですが、全体的に桂教室よりは緩めのレベルだったかと思います。囲碁塾内での成績によって段級位が決定し、成績次第では免状の申請権利も得られるシステムでした。
私は高校三年の夏休み囲碁塾で、四段の免状を申請する権利――確か半額だったような――を獲得しました。桂教室で何段ぐらいまで上がっていたかその部分の記憶がすっぽり抜け落ちてはおりますが、年に数回しか対局をしていないにも関わらず四段の認定を得られたのは、桂教室時代にかなり鍛えられていたのであろうと判断できます。
ここまでの話だと結構すごく聞こえるかもしれませんが、四段といってもあくまで「子ども囲碁塾の四段」であり、いわゆるネット碁の四段レベルではありません(当時、ネット碁は何もやっていませんでした)。
実際のところどの程度の棋力だったか。大学入学からほどなくして東洋囲碁を始めたところ初段から一級に降格するレベルでしたので、この当時の棋力をネット碁換算すると、だいたい一級から初段程度だったのではないか、と考えられます。
余談ですが、この時の囲碁塾で獲得した四段の免状申請権はすぐに行使しました。なかなかいい金額だったような記憶があり改めて調べたところ、四段は六万六千円とのこと。半額でも三万三千円もかかります。紙ペラ一枚にこの金額は率直に言って高過ぎですね(笑)
免状などあってもなくてもさしたる意味はなく――ネット碁の段級位ならともかく、日本棋院の段級位の基準は甘いのでなおさら意味があるのか疑問です――、自分から欲しいと親に頼んだわけではなかったはずです。私は大学受験を推薦でクリアしたのですが、推薦入試は面接もあることですし、「囲碁四段」の免状取得と書いておけば印象的なアピールポイントになるだろうということで、母が喜んでお金を出してくれたのだったと思います。
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