2.「ヒカ碁効果もボチボチってところでした」
囲碁を始めるきっかけとなったものは、月並みですが『ヒカルの碁』です。確か、小学五年生か六年生の時にアニメを放送しており、リアルタイムで観ていました。
ただ、囲碁自体もそれ以前に知ってはいました。
小学一年生の時、母がユーキャンの日本囲碁連盟で事務のアルバイトをしており、そこで母が入門用のビデオを借りてきたことが囲碁との出会いでした。具体的なビデオの内容までは憶えていませんが、ビデオに出てきた少年だかお爺さんだかのセリフをふざけて家の
ビデオを観たり母から直接教わったりすることで囲碁の基本的なルールを知り、母と九路盤で対局していました。
しかし、母の日本囲碁連盟のアルバイトは一年ほどで終了となり、それに伴って囲碁はやらなくなりました。
それから数年後、私が本格的に囲碁を始めるきっかけとなったのが、前述した通り『ヒカルの碁』のアニメでした。
とはいっても、私自身はそこまで強く関心を持っていたわけではなく、母のほうが私に囲碁をやらせたいという気持ちが強かったのです。理由はわかりませんが、囲碁は頭を使うゲームなので、習い事として継続させれば勉強など他のことにも役立つというふうに思ったのかもしれません。
ということで、母はNHK学園の囲碁教室――国立駅近くにある初心者向けの教室――を勧めてきましたが、かくいう私は「友達と遊ぶ時間が減る」と言って強く拒んでいました。しかし、結局は折れて通うことになったのです。
母から何と言われてその気になったか、あるいは
そうそう。ここまで書くと母はどれほど囲碁が強いのかと気になる方もいるかと思いますが、母自身はおそらく二眼の生き形の判別が正しくできない程度で、まともに対人戦ができるレベルでは――現在に至っても――ありません。
ということで、小学六年生の時から週に一度、NHK学園の初心者教室に通うことになりました。
教室に入った時点でどの程度囲碁のルールを覚えていたのかは正直まったく記憶にないものの、スタート時の級位が二十六級だったことは今でもよく憶えています。
自分で言うのもなんですが、私はそれなりに記憶力が良いので、小学一年生の時に覚えた囲碁のルール――その当時どこまで覚えたのかについてもわからないのですが――がほとんどそのまま頭に残っていた可能性もあるかもしれません。そうでなかったとしても、基本的なルール――二眼の生きやセキなどその辺りまで――を覚えられなくて苦労した記憶はないので、教室で学んで問題なく習得できていたのでしょう。
『ヒカルの碁』に便乗して囲碁に触れていたのはむろん私だけではなく、学校にも何人かいました。小学校のクラブ活動の中で室内ゲームクラブというものがあり、オセロや将棋などのボードゲームを行うクラブで、その中に囲碁もありました(囲碁をやる人はそれほど多くはなかった気がしますが)。
また、当時一番の仲良しだったS君は、私の影響でおもちゃ屋さんで折り畳みの碁盤を買って私とたまに打っていました。さすがに十九路盤ではなく九路盤か十三路盤だったと思うのですが、S君は私が白を持った時に「(コミ五目半は多いから)一目半にしよう」と言って、独自ルールで対局していたことを今でも覚えています(笑)
囲碁ブームがあったとはいえども、NHK学園の初心者教室に学校の知り合いは一人もいませんでした。
また、室内ゲームクラブの生徒しかりS君しかり、週1回とはいえ本格的に教室で習っている私とまともに勝負ができる人は誰もいませんでした。なので、今にして思えば、「ヒカルの碁がリアルタイムで放送されていたのにあの程度しか流行らなかったのか?」と思わず半笑いを浮かべてしまいます。
そういうわけで、大人気アニメを以てしても私の身近ではさほど流行らなかったのですが、まともにやっている人が少ないからこそ、教室で学んで少し打てる私は一目置かれていました。女子にもてはやされるような外見や性格ではなかった私も、その当時は囲碁が打てるということで女子からもほんの少し注目されていたように思います。
自発的に始めたわけでないにしろ、教室に通うようになってからは素直に楽しくやっており、「やらされている感」は持っていませんでした。
週1回の教室の他に自主学習などどの程度していたか、おそらくこれといって大したことはしていなかったように思うのですが、小学校卒業時には十二級まで棋力を伸ばすことができました。
ちなみに、教室では最初のうちは九路盤や十三路盤での対局でしたが、級が上がるにつれて十九路盤での対局も徐々に行っていた記憶があります。
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