そんな平行世界
にゃべ♪
そっくりだけど違う世界
ある日、俺は唐突に世界の違和感に気付いた。どうして気付いたのか分からない。直感で『違う』と分かったんだ。俺が知っている世界と、今俺のいるこの世界は違うと。
そこで俺はすぐに確認作業に入った。たまたまスマホを持っていなかった俺はスグにそこら辺にいる人に話しかけた。
「すみません、今、何年でしょうか?」
「え? 2024年だけど?」
「や、西暦じゃなくて……」
「あ、元号?」
何故俺が元号を聞きたかったのか。それはこの確認がとても大事だと感じたからだ。2024年だけじゃ足りないんだ。元号まで揃ってようやく俺は安心出来る。
俺は少し緊張しながらも、胸の鼓動の高まりを抑える事が出来なかった。まるで答え合わせをしているような気分だった。
「トリあえず6年だけど」
「……はい?」
聞き慣れない言葉が返ってきて、俺はプチパニックになる。
「ちょ、え? 令和じゃなく?」
「令和って何? 受けるんだけど」
「いや、トリあえずなんて元号聞いた事ないって!」
やはり俺の違和感は当たっていた。ここは俺の知っている世界じゃない。多分アレだ、パラレルワールドってやつだ。きっといつの間にか迷い込んでしまったんだ。
「一体どうしてこんな事に……」
迷い込んだなら、戻る事も出来るはずだ。俺は自分にそう言い聞かせ、元の世界に戻る方法を探す。あちこち歩いて、色々な人に声をかけて――。
しかし、手がかりは何ひとつ見つからない。俺はこの世界で一生を終える事になるのだろうか。
絶望した俺が空を見上げると、見慣れない鳥が飛んでいるのが見えた。その鳥は何だか不格好だったけれど、とても愛嬌のある鳥だった。
「おーい」
俺は鳥を追いかけた。しかしすぐに見失う。無我夢中で走っている内に、知らない何処かに辿り着いていた。
ヘタれてしゃがみこんでいる俺の前に、魔法使いが現れる。
「帰れ!」
その声にびっくりしていると、俺は元の世界に戻っていた。もう一度、あの鳥に会いたかったな……。
そんな平行世界 にゃべ♪ @nyabech2016
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