第26話 サカモトさんを守る

K・M・Iのサカモトさんへの攻撃がはじまった。サカモトさんも着物のたもとから拳銃を抜いて応戦している。乾いた拳銃の弾の音が宝石会場に響き渡る。

山内が言っていた言葉を思い出す。綺麗な宝石が赤く染まるのは嫌だと。

まさに僕もそう思う。早くサカモトさんを非難させなければ。

シャム猫の姿の黒木さん、会場内を猫のしなやかさで飛び回り意図的にK・M・Iの視線を拡散している。

シャは?どこだ?

人間の少年の姿で宙を浮いている。僕から遠く離れている。

「シャー!」

シャがチラリ僕をみた。それでもシャは止まることなく、宙を浮いたままK・M・Iの目の前に。K・M・Iの弾丸がシャの命中。グニャっ。シャのカラダがスライムのように溶ける。弾丸は空に放たれて抜けていく。

「なんだ!」K・M・Iが混乱している。

所詮K・M・IはAIロボだ。シャの個体変動の解析に時間を要している。

動きが止まる。

僕はもう一度「シャー!今だ。K・M・Iは止まっている。サカモトさんを安全な場所へ。」僕の言葉と同時にK・M・Iの動きがマッハに。

気づくとK・M・Iはシャの目の前に立っている。

「くそー、AIロボめ。」シャの汚い言葉が聞こえてくる。

シャム猫の黒木さんはも会場を飛び回りながら、気づくとK・M・Iの真後ろまで詰めている。

「パーン。」乾いた音と同時にK・M・Iの腕だけが逆回転し、真後ろのシャム猫の黒木さんを撃ちぬいた。

「ワァー!」僕は自分でも狂うくらいの悲鳴を上げた。打たれた黒木さんの姿が人間にもどり血を流して倒れている。

僕の叫びで、会場内のすべての生命体の動きが止まった。

もちろんK・M・Iも止まっている。動いているのは僕とシャだけだ。

サカモトさんも止まったままだ。

「シャ、黒木さんが黒木さんが・・・」

「スバル、今は何も言うな。必要じゃないことは見るな。今の優先課題はこのサカモトと言う人間を生かすことだ。

ボーっとするな。自分の仕事をしろ。スバル、お前は時を動かす黒い影Xだ。

俺様の助手だ。ここでサカモトの存在が消えてしまえば、パラレル世界がおかしくなる。サカモトはもう一つの世界で生かさなくてはいけない人間だ。」

「黒木さんごめん。あとで必ず戻って来る。」

「急げスバル。サカモトを抱えろ。」

シャが片手をあげて空間を切った。僕らはもう一つの世界に足を入れた。」

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