第21話 学校だ
気づくと教室の席にいた。
視線を感じ横を見た。黒木さんだ。
あー、さっきの転校生の続きからか。
まあ、いい。とりあえず僕は学校に戻った。『よかった。』
普通の中2。少しは、脳内をゆっくり休ませたい。
シャの残像ではないが黒木さんは人間として転校生としているってことは、異世界で起きたことは、本当だ。
でも今はほんとに脳内を休ませたい。
運よく今日は始業式。9月2日。いきなり授業はない。
チャイムが鳴る。昼休み。
黒木さんは沢田さんや山下さんたちと食堂へ行った。
元の猫のシャムが黒木さんだなんて誰も気づかないだろうな。
変な感じだ。ニヤ。
「ドン。」リクが僕にタックル。
「スバル、何を一人でニヤニヤしているんだ。」
山内も「スバルがどうしたって?」
僕は山内の背中を押す。
「何にもないぞ。それより昼だ。食堂へ急ぐぞ。」
列が出来ている。黒木さんたちが少し前にいる。
山下さんはCランチ。サラダ多めだ。沢田さんはBのカレー。黒木さんは本日ランチの魚定食。「渋いな。黒木さん。」思わず山内が口にする。
「いいじゃないか。きっと魚が好きなんだろう。」
僕は笑わないように、答えた。
ほんとは笑いたくってしょうがない。
『だって黒木さん、猫だから魚定食はしょうがない。』とは口が裂けても言えない。
単なる食堂なのになんだか笑える。
命のやり取りもない。改めて思うと僕らは幸せだ。
シャが僕の脳内に干渉。『そうだ。スバル、お前たちは幸せさ。』
一瞬、タバル坂の光景が脳内にかすんだ。思い出してはいけない。
シャが言っていた。思いだすのは、よそう。魔モノに引っ張られそうだ。
『シャ、そういえば現実の世界にも魔モノはいるって言ってたな。どこだ?
どこにいる?』
シャが『スバル、列をよく見てみろ。生徒にまぎれてしっぽの生えた黒いデビルがいる。ほら、アイツだ。良く見てろ。
デビルがわざとランチをトレイに入れた生徒の腕を触って手を傾ける。
トレイは平行をたもれず、ひっくり返る。」
「あれが魔モノか?」
「いや違う。デビルはデビルだ。魔モノとは違う。」
「そうっか。」
「そうだスバル。魔モノは気持ちが悪い。デビルは単なるいたずらっ子だ。」
「そうだな。どう見ても人の命をとるようには見えない。」
「スバル、ただ気を抜くな。デビルに魔モノ。人間以外、もちろんシャム猫の黒木なような変身した生命体がこちら側の現実世界にも混じっている。」
「シャ、わかってる。」食堂の列が進む。
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