第20話 鳥に変身
「スバル、まあいい。失敗もいい経験だ。時を歴史を動かす黒の影Xにも失敗はある。
ただし、失敗は引きずらない。」
「シャ、なんか学校の先生みたいだな。」
「そうか。」
「ありがとな、シャ。」
「なんだ。ほら、次に飛ぶぞ。」
「次は?」
「タバル坂だ。あまり気乗りしないが、これも人間の歴史だ。生死をかけた戦だ。」
シャは小さな声で。
『何千年経っても、どこの時代でも、人間の命の戦いは見たくはない。』
「だな。」
シャは僕の声に聞こえないふりした。
「飛ぶぞ。」
次の瞬間、僕のカラダを白い煙が。
パタパタ。羽根がある。両手が上下に。鳥?
「えっーーー!シャ。僕が鳥!」
「慌てるな。その姿の方が都合がいい。
飛ぶぞ。」
鳥の姿で時空を超えた。
タバル坂。大きな木の枝に僕らは止まった。
真下を見た。山間の細い道。
西郷さんと大久保側の多くの兵士。激突。
言葉が出ない。
「スバル。真下の画像に引き込まれるな。
見すぎると、その時代から抜けてなくなる。
飛ぶぞ。ほら、両手を上下に動かせ。」
あまりの衝撃に腕が、羽根が、動かせれない。
一本の矢が僕を目掛けて飛んでくる。
シャが、とがった口ばしで僕の頭をこづく。
「いたい。」目が覚めた。
僕は思いっきり上下に羽根を動かした。
飛べた。
シャが「危ないところだった。スバル、あのまま居たらお前はあの時代に飲み込まれ食べられていたぞ。忘れるな。
俺様達は時を動かす黒い影Xだ。
あの矢を放ったのは人間ではない。あの場所、あの時の中にまぎれている魔モノだ。
スバル、ボーっするな。現実のお前のリアルな時の中にもあの魔モノはいる。
奴らは時の暗やみの中でいつも獲物を探している。強い俺様に感謝しろよ。」
素直に言葉は出たが声が出ない『ありがとう。』
「どうした?魔モノの毒でも浴びたか?これを食べとけ。」
シャが僕の口に放り込む。僕が好きな、ヌガー入りのチョコ。
「おいしい。」
「声はもどったな。魔モノの毒にやられたときは手っ取り早く、
自分の好きなものを口に放り込め。毒が消える。」
「簡単だな。」
「まあな、所詮、魔モノはそんなものさ。」
さっきのタバル坂の人間の場面が脳裏をよぎる。
「ポコン。」シャのゲンコツ。
「スバル。はじめに言ったぞ。見るだけだ。
それだけでいい。感情を入れるなってな。
お前はやさしすぎる。
こういう場合はAI機械人間の方がいいな。」
「シャ、それはないぞ。」
「まあいい。一度もとの世界に帰るぞ。
スバルは学校へ行け。」
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