第19話 AI と西郷とサカモト


代返に失敗した僕は落ち込んだ。

なぜなら、未来からの僕はこの結末を知っているからだ。

「コツン。」シャが僕の頭にゲンコツ。

「落ち込むな、スバル。失敗は誰にでもある。間違えもだ。」

「しかしシャ。西郷さんが同じ鹿児島の大久保さんが自分に会いに来たと、

さっき僕が代返をしくじらなければ。

歴史は動き、西郷さんは助かったんだよね。」

「コツン。」

「スバル。お前は助手だぞ。失敗も織り込み済みだ。西郷はいかす。

そのために俺様、時を動かす黒い影Xがいる。

それにスカウトして早々のスバルをあてにはしてない。ハハハ。」

「シャ、なぐさめか。」

「少し説明しよう。スバルが失敗せずに大久保が西郷の仲間だとしても、この後に起きる、熊本タバル坂のひどい惨劇は避けれない。

仕方ない。何かを動かすときには代償がいる。

その代償が俺様の嫌いな、命の代償だったというだけだ。俺様はお金の方がいいがな。」

「なんかリアルでいやな感じ。」僕は細目でシャを見た。

「そんな目で見るな。時を自由に動ける俺様でも時に対価、お金は必要だ。

それより西郷、大久保、そして動く中心人物のサカモトについて話そう。

AIのK・M・Iがサカモトの脳をねらっているのは知ってるな。そこに西郷の名もあった。が今はない。」

「えっ?どういうこと?」

「K・M・IはAI機械人間だ。絶対的にサカモトの脳を狙っている。

過去Kが始まりだ。なぜ、サカモトに執着するか、理由はわからない。

単に初期設定がサカモトとインプットされているんだろう。」

「なんとなくわかる気がする。PCもフリーズすれば初期設定にもどって入力する的な。機械には変な癖があって、初期設定を大事にする。戻るって表現が妥当だ。」

シャが「人でいう原風景。誰もが持っているもだ。」

「そう聞くと、AIは人間ぽいかも。それでAIは

完全な人間になることを目標に自己学習、習得するようにプログラミングされているんだろう。」

「だな。」

「シャ、西郷さんをなぜ彼らに狙っていたんだ?」

「たぶん、サカモトの記憶の中に西郷さんの良い場面が残っていたのかも。

サカモトは、ずば抜けて脳内回転力と素早い判断力。その完璧な、サカモトが口数少ない思慮深かく統率力の西郷さんに負けを認めた。その記憶をAI が読み取り、西郷も狙われていた。しかしAIのK・M・Iは、サカモト1人に絞った。脳内データーは一人に絞った方がいいようだ。」

「2兎追うもの1兎も得ずだ。」










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