第11話 黒い影X

「サカモトさんですか?」

僕はこわごわ聞いた。

「そうだ。本人だ。」

小柄のサムライの男性。カラダの割に声は大きいが、少し神経が細かそうだ。グラスの飲口を目立たぬように飲む都度に拭いている。

シャが「ノボル、さすが俺様の助手だ。

サカモトは神経質な男だ。良く言えば、用心深い。」

「学校の教科書じゃ、新しいもの、考えを取り入れる。行動力のあるおおらかな人物像的に描かれていた気がした。」

サカモトさんが「ノボル、いきなりワシの悪口かよ。現在と過去を行き来するXはどうも好きになれんな。」

僕はサカモトさんの大人の威厳に少し小さくなった。しまった。考えを読まれた。

僕の小さな変化にサカモトさんは気づいた。

「冗談だ。少年。黒い影Xの助手しっかりしーな。」

少し間があき「ノボル、港では助かった。礼を言う。」片手を上げてまた元のオースティンの姿に変わりサカモトさんはテーブルへ戻った。

シャが「どうだ。ノボル。現在と過去を行き来するXの仕事は?

教科書の人物と会えるのは特権だ。

なかなかできない仕事だぞ。」

「ゴツン。」僕はシャの頭を叩いた。

「シャ!誰も頼んでないぞ。

お前が勝手に僕のところに来ただけだ。

誰も頼んでいないぞ。

図々しい、ばか猫ね!」

シャが「ノボル、俺様が勝手に来ただと。

うーん、そうだな、否定はしないが、

X の人選は時の気まぐれだと諦めてくれ。」

「まあ、修学旅行中の出来事ってことで軽いイベントだと思うことにするよ。

それよりシャ、

サカモトさんを探し回っている

K・M・Iっては誰なんだ?」

「K・M・Iは、僕らとXと同じ時を移動できる組織だ。彼らはAIの未来の別の次元の組織さ。

サカモトの脳を狙っている。」

「?」



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