第3話 グラバー邸にかけこみ

僕と、えっ?横にはリク、山内。2人も洋風の舞台衣装を着ている?

山内が「スバルここはどこだ。」

僕は辺りを見渡す。「たぶん、グラバー園の中、さっきの旧三菱第2ドックハウスの洋館?」

山内の顔が引きつっている。「景色は同じだが建物の色が違うぞ。それにさっきあった、池がない。」

リクも「修学旅行生はたくさんいたはずだよ。みんなドックハウスに行ってしまったのかな?」

山内が「景色も変だが、スバルなんだその格好は?刀なんかさして」

僕は着物を着ていた。さっきと同じ格好だ。

「シャにやられた。」

「なんだよ、それ。」山内とリクが笑う。

「猫の仕業だよ。さっきリクが遊んでいた、

あの黒猫さ。カステラ店で一度、シャに、

化かされた。」

「何だそれ。化け猫か?」

「化け猫より、たちが悪い。こわがらせるならまだいい。仕事をさせられる。

たぶん、そろそろ来るんじゃないかな。」

シャがゆっくり僕らの目の前に現れた。

「シャ!」

僕は素早くシャのカラダを押さえつけた。

「シャ、今度は何をさせる気だ。友達まで巻き込んでいるぞ。」

「大丈夫さ。」

「答えになっていないぞ。」

シャが「時間がない。そこのヒラヒラ襟の山内。呼ばれたら振り返らずに『サカモトは抜けた。』と返事をしろ。

タータンチェック柄のリク、君も振り返らずに、指で右を差してくれ。」

山内が「猫に指示されるのは?だが、ちっと演劇ぽくって、面白そうだ。」

リクも「そうだな、一度やってみたかったんだ演劇。」

2人は楽しそうだ。まだ時空を超えていることに気づいていない。

シャが「スバル。誰かが追ってきたら、全力でこの道を下って、大きな一本松の家に滑り込め。ドアは開いている。わかったか。」

「シャ、またこわい目に合わせるんじゃないだろうな。」

「スバル。大丈夫だ。はじまったぞ。」

山内、リクが役をこなした、次の瞬間。誰かが僕を追いかけてきた。

全力で走る。走る。僕は一本松のある家、グラバー邸に駆け込んだ。



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