0405「素晴らしい世界 新装完全版」(浅野いにお先生)

 このドでかい漫画を買ってから半年くらいが経っていた。ついこの間、デデデデを見てきたということもあって、浅野いにお作品ブームがこっそりと到来している。


 くるりのワンダーフォーゲルを聞きながら、少しの感想を書いていく。(なんだかんだいって適当に書いてきているこのカクヨムにおける場だけど、結構私的にはしっくりきている。おそらくしばらくは続けていくことになりそう。バックアップは忘れずにとるように。)


 ちなみに、このワンダーフォーゲルは浅野いにお先生の当時よく聞いていたという曲なんだけど。。。あとがきにこういうことを書いていてくれると、こうして時の保存がより、テキストのみよりも達成されているような気がして変な気持ち。ありがとう。


 読んでいて思ったことは、なるほど。先生もおっしゃっているように、まだかなり若い時の作品であるということがよくわかる。各テーマ、扱う内容、着眼点などによって、その雰囲気というものは個性からよりも如実に生成されてしまうものだと思っていて。そうだな。確かにデデデデやソラニンから入っいる身としては、すっごく『え、これ浅野いにお先生の作品なの?書き込みの量も少ないし……。キャラのセリフもかなり臭いし……』そんなかなり失礼なことを感じてしまった。


 それは先生自身も認めていて、恥ずかしいとまで書いていたような気がしたんだけど、確かにそうやって自身の創作物に自己嫌悪できるからこそ、今の先生の作品があるんだろうなとか。今の自分にかけるものは何かと、漫画という媒体を一つの表現の場であることを強く意識して書いている人は強いなとか。そんなことを感じた読書だった。特になんだろう。あとがきがこの新装完全版ではかなり重要な意味があると思っていて。だってわざわざ高いものに手を出すっていうことは、そのおまけなるものを少なからず求めているわけでして。


 そのあとがきが、ぴったりと作品群と調和を成していた。浅野いにお先生のことがよく理解できる、いやちょっとわかると言ったほうがいいのかな。そんな完全にファン向けの一冊だと思う。


『素晴らしい世界』というタイトルではあるけど。おそらく、この素晴らしい世界は、ネガティブな意味合いがあると少なくとも私は感じとった。


 小冊子的なおまけ単行本みたいな、そんなところの『まえがき』に現代がその素晴らしい世界に近づきつつあって、昔よりもより具体的に明快になった世界であると暗喩していた。


 私はそれがポジティブだとは感じとれなかった。それはこの作品群を読んでいてぼんやりとうかんだ「素晴らしい世界」像でもあるし、この『まえがき』の雰囲気からそのようなことを感じた、世界像でもある。


 浅野いにお先生はかなりの皮肉家だとも思っている。でもそれが刺さるファンにとっては、たまらなくしびれるのだ。私もそのうちの一人。浅野いにお先生の言葉に描く表情に。。。心を揺さぶられている。


 このまえ、子供には浅野いにおは読ませたくないけど、阿部共実は読ませたいなとかいうツイートを見た。なるほど。同じような性質を持つ漫画に対して、このように教育上の分類は少しずれてしまうのだな、ということを感じた。


 メッセージをもった漫画の宿命だと思っている、これは。そしてそのような現象があるということは、まさにこのような漫画家さんには本望なのだと、勝手ながらファンとしては思っている。


 そういえば、おじやんの顔が半ページドあっぷで描かれていたところがあったんだけど、急にあの顔が出てきたときは、びっくりしたというか。完全に虚を突かれて爆笑してしまった。なんて言ってたんだろう、ああ、たぶん、こういっているな、と。そんなセリフが自然と想像できるような……


「んなわけあるかああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



 たぶん、これ。


 ということで、今回はここまで。


 浅野いにお先生のマンガはやはりいい。大学中期ごろのあの鬱屈とした当時の私を思い出しながら……


 新しく始まった新学期を過ごしていきたい所存。


P.S.


 日付が公開日時とずれているのは、その日付のときに読んだから。ということ。それと諸事情から日付が正確ではないものなどあるが、それはあまり気にしないこと。映画とかは特にそれ。ばいちゃ!

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