第209話 戦いの後
「……うん?あ、起きた?」
「神林さん…」
神林さんが寝ている横で、魔力のコントロールや何か使える力は無いか試していると、ちょっとうるさかったみたい。
私が何かしていることに気付いた神林さんが起きて、私のことを抱き寄せてくる。
「ふふっ…私の抱き枕」
「むぎゅっ!」
神林さんのたわわな胸に顔が埋まって変な声が出た。
こういう時の神林さんはなかなか離してくれない。
ならどうすればいいのか?
「ひゃっ!?」
「ふふ~ん」
神林さんのパンツの中に手を突っ込んで神林さんの大切な場所を触る。
神林さんは根性こそすごいけど、体はよわよわなんだよね。
だから、こうやって私が触ると神林さんはすぐに離してくれる。
普段はこの後私のほっぺをぷにぷにして不満を伝えてくる神林さんだけど…今日は違う様子。
「最近忙しかったね」
「ですね。…それがどうかしました?」
「いや?かずちゃんは大丈夫なのかなぁ、ってさ?」
そんな事を言いながら、体を私の上に持ってくる神林さん。
四つん這いになって私のことを見下ろす神林さんの顔は、何処か赤い気がする。
「……そういえば、最近ご無沙汰でしたね。なんか私も急にムラムラしてきました」
「…する?」
「しないわけ無いじゃないですか」
私の言葉に、色っぽい艷やかな笑みを見せる神林さん。
丁寧に私の服を脱がすと、そのままその辺にポイポイ投げ捨てる。
そして、裸になった私の体を撫でる。
優しく、滑らかな動きで私の体を触る神林さんは、何かに気付いたようで、手つきが変わった。
「また筋肉が付いたね」
「そうですか?未だに腹筋は割れてませんけど…」
「ちょっと体が硬くなってる。パワーがついて良いことじゃない」
「私はぷにぷにで居たいんですけどね…」
ちっちゃくてぷにぷにな私で居たい。
…もちろん、だからといって太るのは嫌だし、沢山ご飯を食べようとかそういうのじゃない。
筋肉がついて抱きしめ心地が悪くなるのが怖いだけで…
「おーい」
「あ痛っ!?」
「考え事は後でね?今は私との時間を楽しみましょう」
「ふふふ…そうですね」
深く色々と考えちゃったせいで、神林さんにデコピンされちゃった。
今は神林さんとの時間を大切にしたいし、考え事はまた後で。
神林さんは私から手を離すと、自分の服を脱ぎ始めた。
別に何でもない動作なのに、今の私には全てが色っぽく見える。
気付いたら神林さんは服を脱ぎ終わっていて、準備万端という様子でこちらを眺めていた。
「かずちゃんの準備は大丈夫?」
「今日は香水をつけなくていいんですか?」
「香水はいいかな」
「ネグリシェは?」
「それもいいよ。じゃあ、いただいちゃおうかなぁ」
神林さんはまた四つん這いになり、私の体を見つめて笑う。
そして、ゆっくりとその手を私の下の方まで持ってくると、優しい手つきで私の中に指を挿れてくる。
「あ、ぅふ…」
勝手に声が漏れてくる。
その声を聞いた神林さんの口角が上がり、優しくゆっくりと私の中で動き始めた。
「あ…あうぁ…」
「ゆっくり…今夜はゆっくり楽しみましょう」
「はい…ふぅぁあ…あっ…」
宣言通り、ゆっくりと…
それはもう、ゆ〜っくり私の中をいじる神林さん。
じわじわと心地よい感覚が私を刺激し、思わず体がピクピクと動く。
「あっ…あっあっ…ああぃッ!」
「い?」
「な、何でもないああぁ!」
ゆっくりではあるけれど、少しずついつもの速度になる指。
それに焦らされて、私の心に重い気持ちが溜まる。
「う〜ん…これ以上はかずちゃんに良くないか」
「ふぇ…?」
「やっぱり、いつも通りが良いね」
「―――っ!!!」
私の弱い所をいきなり突かれ、声にならない悲鳴にも似た歓喜の声を上げる。
もちろん、私の意思と言うよりは反射的に。
…でも、コレこそ私が求めていたものだ。
「あっ!ああっ、あ、や、ん、あっあっ!」
「ふふふ、楽しそうだね」
「かんば、んぁっ!!」
神林さんは的確に私の弱い部分を指で刺激してくる。
その動きは凄く上手で、私の頭がおかしくなりそう。
私との沢山の夜の営みの中で成長しているからこそのこの上手さ。
私だって負けてないけど…今は神林さんにされるがまま。
やられっぱなしも悪くな―――
「ひんっ!?」
「可愛い声」
突然お尻を叩かれた。
何がどうなってそうしようと思ったのか分からないけど…私の何かが神林さんの琴線に触れちゃったから、Sっ気が刺激されてこんな事をしたんだと思う。
神林さん、戦闘じゃタンク役で全部の攻撃を受けるタイプなのに、夜は完全にアタッカー。
フルアタのガチ攻撃タイプで、私のことを乱暴に可愛がってくれる。
…だから、私も負けてられない。
「うぐっ…」
「お返し」
お尻を叩かれた仕返しに、鳩尾を蹴ってやった。
私達の夜は喧嘩ックスになる事が多い。
何故ならどっちも攻めだから。
いかにどっちも気持ち良くなりながら相手を屈服させられるかの営み。
負けた方はもちろん勝った方に好き放題されるから、どっちも攻めな私達は絶対に負けたくないという思いが強く、激しくなりがち。
「痛いなぁ…」
「お尻を叩き返せないんだから仕方ないじゃないですか。それと、抜かないでくださいよ」
「な〜んか白けちゃった」
「えぇ?」
なんで?
いつもならもっと酷いことするのに。
神林さんなんて、私の髪引っ掴んで吐くまで腹を殴ってきた事だってあったのに…
「別に喧嘩したいわけじゃないからさ」
「その割に結構強めに叩いてきたじゃないですか」
「まあ、そこは…ね?」
この人もそこそこワガママだからなぁ…
誰かに良くしてあげたい世話好きだけど、それは誰かに良くしてあげることで自分が良い人のように見えてるから。
そういう自己中心的な面があるのも大好きですよ、神林さん。
「…今日は終わりですか?」
「う〜ん…そうだね」
「むぅ…なんかやな感じです…」
「よしよしくらいならしてあげるよ。多分すぐ寝るけど」
気分がノらないと何事もやる気が起きないからね。
な〜にがそんなに気分を害したのか私にはよくわからないけど、神林さんはもう今日は相手してくれなさそう。
「…もういいです。一人でします」
「分かった。一応服は着ないでおくね」
「はいはい…」
このまま寝るのは気分が良くない。
とりあえず気持ち良くなってから寝よう。
…全く、神林さんも気分屋だなぁ。
仕方なく一人ですることになり、少し寂しかったけど…一応気持ち良くはなれた。
ただ、やっぱり心残りがあって、次の日こそはたっぷり楽しもうと思ったのであった……
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