第195話 究極!無敵の布陣2
惜しみなく最高火力の魔法を叩き込み、防御になっていないホロボスカミを撃ち落とす。
どうせ俺は魔力をいくら使っても良いんだ。
どれだけ魔法を使おうとも『タイヨウノイシ』の膨大なんて言葉では表せない程のエネルギーを使うから、魔力切れなんてものは起こらない。
『天秤』の負荷を減らすためにも、俺がメインの攻撃役にならなければならない。
「こいつら無限復活なのか?」
『天秤』がそんな事を聞いてくる。
無限復活か…考えたくもない。
「流石にそれは無いと思うがな…」
「どうだか。さっきあっちとほぼ一緒に倒しんたが…復活してたぞ?」
同時撃破が条件じゃない?
なら、他に条件があるのか…別の場所にある弱点を破壊するタイプとかが考えられるが…
「もし、他の場所に撃破に必要な条件があるなら、いくら応援を呼んでも無駄になるな…何か、決定的なものが無ければ…」
「そんなに難しく考えるなよ。とりあえずボコボコにしたら良いんだよ」
「それで勝てる相手じゃないだろう?明らかに相手は手を抜いている。まだ様子見の段階なんだ」
対してこちらは次々と手札を見せている。
このままではただ時間と労力を無駄に消費して、自分で首を絞めるだけだ。
そうなる前になんとか手を打たなければ…
「悪い癖が出てるぞ?昔の勢いで何でもするお前は何処に行ったんだ?なあ」
「昔の話はナシだ。『氷華』にへし折られた自分はもう居ないんでね」
昔はもっと考えなしだった。
皆そう言うが、今だってそう変わらない。
ただ少し冷静にものを見られるようになっただけで、根本はそう何も…
「ちっ!?危ねえぞ!?」
「っ!?」
『天秤』が俺の前に出て魔法をバリアで防御する。
考え事をしていたばっかりに相手の攻撃に気付けなかった。
「視野は広がってないな。『氷華』ならこんな事にはならなかったぜ?」
「あんまり話しかけないでくれ。余計な事を考えてしまう」
俺は一つのことをしていると、他のことが出来ない要領の悪い人間だ。
強く無かったら今頃首を切られているような人間。
だからこそ…目の前の事には集中したい。
「攻撃は任せる。こっちは隙を見て両方を見るからたのんだぞ?」
「任せてくれ」
ホロボスカミの相手なら俺一人で十分だ。
…まあ、本来なら食いつくだけで精一杯だろうに。
それ
『タイヨウノイシ』から大量のエネルギーを引き出し、それを魔法に利用する。
俺の魔法を瞬時に理解したホロボスカミは、多少狙い辛いようにジグザグに飛ぶ。
無限に復活できるからと言って、攻撃を食らっても良いわけじゃ無いだろう。
避けられる攻撃は避けて、魔法の軌道や威力を見ようとしているのか?
「鬱陶しいが当てられない程じゃない。それに、なんとなく理解した」
背中の翼に力を込め、一気に加速する。
それを見たホロボスカミは高度を上げ、また複雑な動きを見せた。
あんな事をされたら、空を飛べないやつは悲惨な顔をするだろう。
だが、俺は違う。
「ジグザグに動いているだけで、その実動きに複雑性がない。つまり、単調な動きって事だ」
「――!?」
「天狗の空中機動力を舐めるなよ?」
一瞬でホロボスカミの目の前に現れると、そのまま用意していた魔法を至近距離で放つ。
避けられるはずも無く、超火力で頭を含めた上半身を消し飛ばしてやった。
…自分でも驚くほど高いイカれ火力。
《天秤》の魔力強化のお陰だな。
だが、それはホロボスカミにとっても同じこと。
こっちの火力は必殺のそれだが、相手も同じ火力を出してくると考えるべき。
「…今の所、最短3秒で復活。最早復活と言うより無限再生だな」
考え事をしているうちに復活された。
それも5秒くらいで。
「とりあえず、何度でも焼き殺す。細かい事は『天秤』に任せればいいからな」
撃破条件なんか知った事か。
何もさせず焼き殺し続けるのが一番だ。
少なくとも、俺に体力切れは無いし魔力切れもない。
『天秤』がなんとかするまで焼き続けるだけだ。
俺から距離を取ろうとするホロボスカミ。
そんな事はさせず、また至近距離で魔法を放ち、一発で焼き殺した。
復活が回数制限である可能性に賭けて、何度でも、何度でも焼く。
そうしておよそ1時間が経過した頃――
「おい『紅天狗』!こっちもやれるか!?」
『天秤』が俺の名前を呼ぶ。
何かと思えば『天秤』がコワスカミを抑えていて、『花冠』の2人が膝をついていた。
(体力切れ…カミ相手に手は抜けないとは言え、最初から飛ばし過ぎだ。これが大幹部なら話は変わったんだろうがな…)
あの2人は最近このレベルまで上がってきたばかりのヒヨコ。
それに、2人ともかなり若い。
まだこのレベルの戦いについていけるだけの力や下地がなっていない。
仕方ない。
どうせエネルギーはまだまだ有り余っているし、助けてやるか。
「問題ない」
とりあえずホロボスカミを消し飛ばすと、同じ魔法でコワスカミを焼き尽くす。
どうせすぐに復活されるし、魔法のストックを増やして……待てよ?
「……こんなのはどうだ?」
炎の玉を2つ出現させ、1つずつ撃つ。
それが直撃した2体は、高温の炎に焼かれて体がどんどん燃えていく。
…ただし、即死はしない。
「復活までの時間が短いなら、死ぬまでの時間を長くすれば良い。その方が苦痛も与えられる……まあ、カミに苦痛なんて考えがあるかは知らないが」
体力切れなら、少し休めば良い。
2人が休むだけの時間を確保できるなら、どんな方法でも良いだろう。
多少非人道的だろうがどうだって良いんだ。
「相手はモンスター。道徳的観点も、人間に対するそれとは違うからな。まあ、じっくりこんがり焼けてくれ」
初回だから調整が難しいが…動けず、それでいてすぐ死なない温度と言うのを見極める必要がある。
どうせ何度だって復活するし、こいつらがその特性を利用してコチラの動きや攻撃を学ぶように、俺も学べばいいだけ。
焼けすぎないよう調整しつつ、倒れるまでの時間を計測する。
倒すまでにかかった時間は43秒。
先程まで魔法一発で消し飛びしていた事を考えるとかなり猶予が生まれた。
…それでも、たった43秒だ。
せめて一分は持つように、威力を見直し再度炙る。
そんな風に、こっちは本気で色々と考えながらやっているんだが…『花冠』の2人はドン引きしている。
失礼な奴らだ。
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