第135話 レベル100へ向けて

「仕事したくないとは言ったけど…」

「まさか、ダンジョンに一緒に行くことになるとはね」


仕事をしたくないという二人のために、私たちがレベル100になるためのレベリングに付き合ってもらうことにした。


やってきたのはこの前一人でダンジョンに潜った時に攻略を進めた階層、第65階層だ。

効率よくレベルを上げるために朝早くから本気で潜り続けた結果、ここまで攻略を進めることが出来た。


第65階層の環境は迷宮型。

トラップも仕掛けられていて、やや危険といった難易わなにさえ気を付けておけばいい。


「この階層はめんどくさいトラップがあるから気を付けてね?」

「どんなトラップですか?」

「なんか、めっちゃナイフが飛んでくるトラップとか、底が針だらけになってる落とし穴とか、毒がふき出してくる穴とか。私じゃないと死ぬ可能性のあるトラップがあるから気を付けて」


全部引っかかったからこそ言える、トラップの内容。

本当に死にかねないから、3人には気を付けてほしいところ。


「あっ…」

「「「え?」」」


町田さんの声が聞こえて振り返ると、トラップ床と思われるタイルの床を踏んでいた。

…終わったかな?


「町田。そこを動くなよ?」

「今助けるから、ちょっと待ってね?」


2人が重そうなものを取り出し、慎重に町田さんの足元に置いていく。

そして、軽く押してみてなにかを確認すると、町田さんが震えながらタイルから足をどけた。

…トラップって、あんなふうに解除するのか。


「迷宮型階層のトラップは、タイルが一度押されて、元に戻ったら発動します。なので、重しを置いて常に押されている状態にすれば、解除出来ます」

「重しを置いてから半日は消えないから、放置しておけば次来る人も安心よ。よほど貴重なものでもない限り、置いていく方がいいわ」

「へぇ~?全部踏み抜いていく必要はないんだね?」


《鋼の体》のゴリ押しで、全トラップを踏み抜いて攻略してたけど、そんな方法もあるんだ?

そういうのも、全部昔の人が調査して見つけた方法なんだよね?

調査って大変だなぁ。


「じゃあ、改めて出発――「あっ」――はぁ…」


また、町田さんがトラップを踏んだ。








レベリングを始めておよそ5時間。

私達のレベルは少し上がり、杏と町田さんのレベルも上がっていた。


―――――――――――――――――――――――


名前 神林紫

レベル87

スキル

  《鋼の体》

  《鋼の心》

  《不眠耐性Lv3》

  《格闘術Lv7》

  《魔闘法Lv8》

  《探知Lv4》

  《威圧Lv3》


―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――


名前御島一葉

レベル93

スキル

  《鑑定》

  《魔導士Lv7》

  《抜刀術Lv6》

  《立体戦闘》

  《魔闘法Lv9》

  《探知Lv3》

  《威圧Lv 4》

  《状態異常無効》


―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――


名前 浅野杏

レベル87

スキル

  《剣術Lv6》

  《魔闘法Lv6》

  《暗殺術Lv7》

  《隠密Lv7》

  《探知Lv6》

  《威圧Lv1》


―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――


名前 町田愛

レベル84

スキル

《短剣術Lv5》

《魔闘法Lv6》

《暗殺術Lv4》

《隠密Lv7》

《探知Lv3》

《威圧Lv2》


―――――――――――――――――――――――


みんなレベルが上がり、かなりいい調子。

4人でこれだけレベルが上がるなら大成功だろう。


「先輩!レベルが2も上がってますよ!」

「よかったじゃない。私も久しぶりにレベルが上がって、二人に感謝したいわ」


『花冠』組二人もレベルが上がって喜んでいる。

私たちがレベルの上がりやすさに関係するとは思えないけど、感謝されて嫌な気分になる事はない。

まあ、私たちのお陰ってことにしておこう。


「にしても……やっぱりこのレベルの上がりやすさ…確実に何かがある」

「『何か』って何?結局聞きそびれちゃったんだよね」

「いや、それが分かってたら、私は『花冠』をやめてるか、二つ名を貰ってるよ」

「そっか…」


杏もやっぱり知らないか…

となると、咲島さんに聞くしかないよね。

いつになったら聞けることやら…


残念な気持ち位になったが、すぐに切り替えて目の前の大きな扉を見つめる。


「ボス戦目前だけど…どうする?」

「行くに決まってるでしょ」

「この調子で私達もレベル100になって、『松級』の仲間入りです!!」


今後の給料が掛かっている二人は、過去に類を見ないほど積極的だ。

その姿勢にはかずちゃんすら引いており、金にがめつい人間の悪いところがよく出ている。


「じゃあ行こうか。どんなモンスターが居るかは私も知らないけど…かずちゃんは知ってる?」

「いえ。まさか、第70階層までくるとは思わなかったので、リサーチ不足です」

「そっか。それは燃えるね?」


なのも知らない状態でのボス戦。

これぞダンジョン攻略って感じでワクワクする。


給料アップを目指して頑張る杏と町田さん。

何気に初めてのそれらしいダンジョン攻略に燃える私とかずちゃん。

全員気合十分で、ボス部屋へと入った。


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