鳥会えず、これを読め!

月乃兎姫

第1話

 まず始めに、これを読んでいる時点で相手の思惑に乗せられています。人の話を聞くという行為は、一見物事を判断する材料となり得ますが、そもそもの起点である、話を聞く、読むなどは相手からもたらされた受動態とも言えるわけだ。


 最初に意図した惹きを作り、人々の興味を惹く方法は、古くから広告や商売などに用いられている。最近で言えば、ソシャゲなどの広告はまさにそれで、わざとらしいミニゲームにおいて、誰でも紐解けるパズルにも関わらず、デモ広告では敢えて間違えている。


 これは、見ている人がに対して「本当はこうだろ! なんでこんなことも分からないんだ?」と、思わせ自らプレイさせる手管の一つ。配信側としては、良いカモと言えるかもしれない。アレもゲームをダウンロードしてもらう一方で、ゲーム途中途中で他社の広告を表示し、収入を得るという新たな商売方法である。


 普通の人ならば、まず引っ掛からない……この認識をしている時点で、もはや策中に嵌っていると言えることだろう。何故なら、本当に興味を惹かないものならば、意見や批判、あるいは認識自体をするわけがないからだ。


 これはウェブ小説などでも、よく見られる事柄だ。その内容とは、敢えてアホのような内容……如いて言うならば、登場人物が10まで数えられるとか、火を使える、料理に砂糖を使えば甘くなるなどである。傍から見れば、こんなもの何が面白いのか理解できないのだが、人は自分より下の人間を馬鹿にして笑う傾向がある。


 それは小説や漫画などの創作物においても同義であり、読む側としては内容を考える必要性がないからとの認識が芽生えるのだろう。これは、いわゆるストレスフリーと呼ばれるものであるが、実際にはストレスフル状態なはずだ。


 意図して知識レベルを下げて作られ、読者は喜んで読み、購入するとの思惑が見え隠れする。つまり読んでいる側は作品を馬鹿にしているが、実際には馬鹿にされているというオチ。

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