姫事

「うん。美味しい」

小籠包を上品に食べる風香 

「す、凄い気品がある」

「零様の秘書なだかあるな」

それを見た人達は風香の姿に感心する

「、、、」

(やめて!!私そんな高貴な人間じゃないのよ!!)

そんな目線に風香は内心そう叫ぶ

(なんであんなかっこつけちゃったんだろう、、、恥ずかしい!!)

そんな感じで悶えていると

「、、、」

ふと目に映ったものに意識を奪われた

それは先ほど助けた女の子の姿であった

「、、、ふふ」

そして風香は立ち上がり 

「さっきは大丈夫だった?」

女の子に近づきそう声を掛けた

「は、はい!百花姫様助けてくれて本当にありがとうございました!!」

女の子は風香にそう感謝を告げる

「ふふ。いいのよ、、、それよりも小籠包あげるわ」

そんな女の子に風香は小籠包が入った容器を渡す

「え?!」

「「え?!!」」

その発言に女の子はもちろん母親などの周囲にいた人達も驚愕する

「私普通にお腹いっぱいでね。今日の記憶が穢れに殺されかけたなんてよくないからね。これでも食べていい記憶に塗り替えて」

風香はそう言う

「え、えっと、、、ありがとうございます!!」

女の子は笑顔でそう風香にお礼を言うのであった

「どういたしまして」

そんな女の子を見て風香は

(やっぱり私はこういう小さないいことしてる方が合ってるなー、、、これから頑張らないと!)

そう考え笑みを浮かべるのであった

「あの、今回は本当にありがとうございました。何とお礼を言ったらいいのか、、、」

そんな中、女の子の母親がそう声を掛けてきた

「いえいえ。零様の秘書として当然のことをしたまでです。それに私も巫女としての経験が詰めましたから」

「、、、このお礼は必ず」

「き、気にしなくていいですよ」

風香がそう言うと

「誰かを救う覚悟がある人は誰かに救われる覚悟が必要ですよ」

母親はいたずらな笑みを浮かべてそう答えた

「え、えっと」

「そのお母さんの言う通りだな」

零が後ろからそう言う

「零さ、様」

「少し話しておきたいことがあってな。来てくれ」

零は風香を呼ぶ

「は、はい。それじゃ失礼します」

「ええ。体に気を付けてね」

こうして風香は零の方へ行くのであった

「、、、立花風香。立花名鏡の娘で巫女としての才能は無いって話だったはず、、、まぁそこは良いとして、、、、よりにもよって月詠零の下にいるなんてね。あいつに対するプロファイリングから見るに風香さんに変なことはしないでしょうけど、、、確実に絶対ヤバいお偉いさんによって自身もヤバい少女にってことにならないと良いわね」

その背中を見ながら母親はそう呟くのであった





「どうしたんですか?」

風香が零にそう聞くと

「まず、改めて今回はよくやってくれた。正直言って想像をはるかに上回る成果だった。死者ゼロで解決は想定していたが、、、あそこまで完璧にかっこつけるとは想定外だった」

零は笑みを浮かべてそう言う

「うぅー!恥ずかしい」

風香は顔を赤くする しかし

「悪いけど慣れてくれ。俺達星ノ夜空はあんな感じのカッコつけをやりまくってる組織だからな」

零は真剣な顔をしてそう言う

「え?そんな中二病組織だったんですか?」

風香が引いた目でそう言うと

「しっかりと理由がある。騙すためだ。自分と相手・観測者の両方を」

零はそう返した

「騙す?」

「ああ。あんな感じのカッコつけによって自分を興奮させて心と体のリミッターを外す、そしてかっこつけを見た相手や観測者はそれを見て心が揺らされる。今回だって風香ちゃんのかっこつけをみた人達は強くその活躍を心に留めたことだろうな。それを続けて行けばお母さんの汚名、、、いや言い方が悪かったな、不幸を塗り替えることができるだろうな」

零はそう風香に言った

「っ!!」

「希蘭にでも教えてもらいな。あいつは劇場化っていうカッコつけの進化版の技術をかなりのレベルで習得してるから、、、それよりもだ」

零は話を変える

「神威・桜吹雪、、、あれって全くもって神威じゃないからな」

「、、、え?神威ではないでしょうけどそれに似たものでは?」

風香がそう聞くと

「似たものではあるけど、、、あれって要は魔力をただ放出させてるだけだ威力も無いしただ大量に魔力を使うだけだから言わばただの暴走みたいなものなんだよね。まー、それで加速すると言う方法自体はいい策ではあるんだけど、、、コスパは悪いから可能なら代案を考えた方が良いね」

零は苦笑いでそう言った

「な、なるなど、、、だからあんだけのもの放ったのに死ななかったのか。いやー、驚きましたよ。殺したと思ったら穢れ全く帰る様子がなくて」

穢れは倒すとチリになるのだが風香が桜吹雪を当てた結果は消えなかったので今後ろにいる穢れは意識を失っている状態なのである

「おかげで良い検体が手に入った。最低レベルとはいえ推定5級の穢れだろうからな。その点はすっごい助かったよ」

「よかったです。ところで百花姫ってなんなんですか?」

「普通に二つ名だよ」

零がそう言うと

「二つ名って私みたいなのに名付けしていいものじゃないと思うんですけど。焔ちゃんですらまだ正式なのは着いて無いのに」

風香は気まずそうにそう返す

「百花姫だって正式なものじゃないし大丈夫だよ。それに言っただろカッコつけることが大事だって。それに風香ちゃんはなら直ぐに正式な二つ名を得ることが出来るよ」

「そうですかね、、、そういえば百花ちゃんは、、、って!零さんの周り百花って言う単語多すぎません?!」

風香がそうツッコむと

「、、、俺シスコンだし、師匠厄介オタクだから完全に無意識に百花って付けやすいんだな、、、まー、百花の二つ名は彼岸花だから大丈夫だろ」

零はそう顔を逸らして言った

「キャラが濃いなー。そういえば希蘭ちゃんの二つ名ってなんなんですか?」

ふと風香がそう聞く

「無いよ」

「え?」

「諸事情で希蘭はあまり表では有名じゃ無いんだよ。その辺は希蘭に教えてもらいな。許可なく俺はその件を話せないから」

零は少しの憤りを感じさせる感じでそう言った

「まー、理由としてはあまり気持ちの良いものではないよ」

「、、、なるほど」

(なにかあるんだろうなー。それに触れるのはよくない)

風香はそう考えてその話をやめた

「まー、希蘭は気にしてはいるけど自分のことじゃなくて希麟の人生を狂わせたことにだから、、、仲良くなれば罪の告白みたいに話してくれるとは思うよ。こう言う時のための星ノ夜空の規則だからな。断られたら止める、、、それ以外はお好きにだ」

「は、はい!」

「さて、迎えが来たようだな」

「、、、ヘリコプター?!」

上空から数機のヘリコプターが向かって来ていた

「明日から福岡に帰るまで間は遊びまくるから楽しみにしててな」

「は、はい」

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