風香

「うわぉぁぁあ!」

零に投げ飛ばされた風香はあまりの体験に叫ぶ

(な、なんなの?!)

状況も全く理解できない

(自分の目で見てきなって、、、このまま進んだら中華街に辿り着くよね?つまり中華街で何か問題でもあったの?)

風香はそう考えると

「ひとまずもうすぐで中華街に辿り着く、、、そこで知ろう」

そう決めるのであった

(というか零さんとんでもない速度で車運転してるな)

風香を投げ飛ばした零はあの後しっかりと地面に着地してそのまま全速力で中華街に向かったいるようだ

「あれなら数分で辿り着きそうだけど、、、なのに間に合わないって、、、本当にどうゆうこと?」

風香の疑問は飛行する時間と共に重なっていく

だが

「っ?!」

それが目に入った瞬間全ての疑問は雲散霧消した

「け、穢れ?!」

中華街の街中に穢れが今まさに生まれようとしているのだ  

そして

(このまま行けばちょうどピッタリ穢れと民間人の人達の間に着地できる、、、この高さだけど足に魔力流せばノーダメージで着地できるはず)

着地場所はドンピシャな場所である

(、、、私に今から出現する穢れと戦えってこと?嘘でしょ)

そしてそれは風香に穢れとの戦闘をしろということである

「私なんかが相手に出来るの?」

そう考える風香だがすでに選択肢は一つしかないのである

「っ!女の子が!」

今にも誕生しそうな穢れの前に一人の女の子が突き飛ばされてしまった

(しかもあの穢れかなり大きい!)

穢れは縦横10mはあるであろう大きさだ

「間に合って!!」

風香はそう願う

(この勢いのままあの女の子を回収する!)

これからの動きを考えた上で

しかし

「っ!間に合わない!!」

残り500mと言ったところで穢れは完全に誕生し女の子を視認していた

「刀を投げるか?いや、私にそんな精度は無いし、万が一ミスればあの子を殺してしまう」

風香はどうにかあの子を避難させる策を考える

「、、、もう、攻撃を止めるっていう手段しかないか?」

本来なら最適解である答えたが風香はそれを選ぶのを躊躇する

(私の力でそれをできるの?)

何故ならば風香にはそれができる自信が無かった

だが風香は家族を守ってきた長女としての根っこがあった それゆえに

「きゃー!!」

「っ!」

女の子の悲鳴を聞いたならば

「できるかじゃない!やるんだ!」

覚悟を決めるのである

「っ!前足を振り上げた、あれを止めないと!」

(でも間に合わない!どうやって加速する?)

「神威・桜吹雪」

風香は魔力の暴走に似た魔法砲で加速する

そして

(絶対に助ける!!!)

確固たる意志を持った風香の振るう浄化刀が

ズバン!!

「ぇ?」

穢れの前足を切り落とした

「ギャァァ!」

前足を切り落とされた穢れは叫ぶ

(き、斬れた!?)

風香は体勢を崩させることを目的に刀を振るったのだがなんと切り落とせしまうという大成果に驚愕する

(っ!今はそんなこと気にしてる時じゃない!私がみんなを守らないと)

そして穢れが近くにいることを思い出し穢れを見る

(それにしても空から登場して女の子のピンチを救うって、、、)

「最初の巫女仕事がこんな劇的なものになるなんてね」

思わず風香はそう呟く

「君大丈夫?」

そして女の子に駆け寄るとそう声を掛けた

「う、うん、、、お姉さんは?」

女の子がそう聞くと

「私は、、、」

風香は少し考えこむ

(零さんの秘書って言っていいのかな?)

自身の正体を話しても良いものかと

「ガァァ!!」

そんなことを考えていた風香に穢れが襲い掛かって来た

(っ?!ちょ!)

風香は驚愕し 

「西行妖・五分咲」

ドカン!!

瞬間に出せる全力の一撃で受け止めようとする

「ギァァァァ!」

しかしそれを風香は刀で受け止めるどころかなんと弾き飛ばした

(、、、私もしかしてこいつより明らかに強い?)

その場しのぎの技で10m大の穢れを弾き飛ばしたことで興奮した、、、いや、調子に乗った風香は 

「私は花の様に華やかに鳥の様に羽ばたき風の様に闇を吹き飛ばし月の様に君みたいな子を照らす、、、ただのお姫様よ!」

そう女の子の問いに

(決まったー!!!)

かっこよく答えた

「さて!お姉さんが穢れを倒しちゃうから君はお母さんと一緒に居てね」

「う、うん!」

風香のかっこつけた言葉のよって恐怖は収まり女の子は母親の下へ向かうのであった

「さて」

風香は弾き飛ばした穢れを見る

穢れはすでに体制を立て直しており今にも襲いかかってきそうである

(こういうのは)

「首切り落とせば勝てるよね」

そして風香がそう呟いたと同時に

「ガァァァ!」

穢れが風香目掛けて襲いかかってきた

(零さんの動きに比べたらあまりにも)

「遅い」

シュ

ドカン!

風香は軽々と攻撃を躱すと

「落桜」

ズパン!!

回避した時に空中にいたことを利用して落下の力を足した斬撃を穢れの首に叩き込んだ

「、、、流石に一撃じゃ無理か」

風香の斬撃は穢れの首の4割を切り裂いたが絶対には至ってない

(というか人間と同じで)

「蜘蛛の脊椎って背中の方にあるんじゃないの?わからないな」

風香がそう呟くと

「キシャー!!!」

ドン ドン ドン

穢れが口や体から毒液をものすごい速度で射出してきた

(鎌倉での銃撃に比べたら)

「遅いうえに狙いもダメ」

(回避できないような狙い方じゃない)

しかし風香は呆れた様子でそう言うと

シュ シュ シュ

軽々と躱し

「次は下から」

(下が隙だらけ)

「西行妖・六分咲」

ズパン!!

「ギャ!!!」

穢れの首が上下ともに4割ずつ切られた

(さて)

「神威

風香の突き出した右手の前に1m大の光の玉が現れる

(これでかっこよくトドメよ!!)

「桜吹雪」

そしてそれが光線として穢れに放たれた

ドカン!!!!

「ギャァダァ!!!」

その一撃によって穢れの意識は消え去った

(あれ?肉体消し飛んで無いな。ま)

「ぁよし」

風香はそう呟く

(さて)

「ひとまずこの穢れは私が倒しましたが他にも出てくる可能性もあるので皆さん気をつけてください!」

そしてそう注意喚起を行う

(学園で学んだことが生きたー)

「「は、はい!」」

あんな大きな穢れを一人であっさりと倒した人間の指示にたとえ少女である風香だとしても皆従う

しかし

「あ、あの貴方は一体どこ所属の巫女様なんですか?」

「貴方ほどの強さを誇る巫女様をここに居る誰も知らないなんておかしいです!」

風香の正体が気になってしまい結論皆足が進まずに居た

「えっと、、、」

(そんなのどうでも良いじゃないのよー!)

風香がどう答えたものかを悩んでいると

「よくやった」

横から一人の少年が現れ風香の名を呼んだ

「「なっ?!!」」

その正体に皆が絶句する

「「つ、月詠零様?!!」」

なにせ男ながら月詠家次期当主候補と目されている月詠零本人が居るからだ

「あ、零

ビュン

「かっこつけろ。呼び方は零様で。話は合わせる」

風香が零と呼ぶ前に零は風香に接近しそう言った

(っ!)

「零様。ご命令通り穢れの捕縛完了いたしました。護送用の部隊も今向かっているそうです」

(今から呼んだとしてもバレないですよね?)

風香は即座にそう零に言う

「相変わらず仕事が早いな。流石俺の秘書だ」

(いかにも出来る秘書だな!完璧)

そして零が風香にそう言うと

「「えっ?!!」」

皆驚愕した

「零様って護衛とか秘書とか嫌がってるって話じゃ、、、」

「そんな零様が秘書にするほどなの」

「と、というかさっき最初の巫女仕事って言ってたぞ?!」

「た、確かに?!こ、これが初陣なのか?!」

口々に風香への驚愕の言葉が掛けられる

「さて皆さん!まずはお怪我無いようで私も安心しています。そしてお願いなのですが彼女の顔写真を上げるとは一週間後の15時まではお控え頂きたい。というのも彼女はまだ学生の身でな。卒業式までは静かに過ごさせてやりたいんだ。今日救われた恩をと考えるならそれだけ守ってあげたくれ」

そんななか零はそう言った

(今バレたら風香が福岡に行ったときに大騒ぎになる)

「「も、もちろんです!」」

助けられた人達はそれにもちろんと言った様子で頷く

「ありがとう。ただ流石に今回の一件全てを誤魔化すのは無理だ。その時に俺の秘書ってただ紹介されるのは味気ない。百花姫って言う名前でこの子への賞賛を広めてくれ」

そして零はそう言うのであった

(え?!)

零の当然の発言に風香は表情は崩していないが内心驚愕していた

「ということで百花姫。食べたがってた小籠包だ。輸送班が到着するまでの間食べて待ってな」

そう言うと零は風香に手に持っていた小籠包を渡すのであった

(え?)

「買う前に来てくれませんか?」

風香がそう言うと

「1人で大丈夫だって信じてたからな」

零はそう言いきった

「っ!今回はそれで騙されますよ」

風香は顔を赤くしながら小籠包を食べるのであった

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