百花姫
「お母さん、小籠包食べたい!」
女の子がそう言うと
「いいわよ。それじゃー、列に並びましょ!」
母親は笑顔でそう言った
そして親子は列に並ぶと中華街の街並みをみわたす
「綺麗な街並みねー」
「カラフル!」
そして
「あれ?」
女の子は気がつく
「お母さん、あれ何?」
「ん?」
女の子が指差した方向を見た母親は
「ぇ?」
絶句した
指差した方向にはドロドロとした不定形の1m大の赤黒い物体があった そしてそれはどんどんと大きくなっていく
その正体とは
「け、穢れ?!」
穢れが出現する前兆である
「穢れ?!」
「嘘だろ?!」
「お、大きいぞ?!」
母親の声によって他の人間も気がついた
「に、逃げろ!!」
そんな誰かの声に
「うわー!!」
皆一斉に逃げ出した
「お母さんについてきなさい!!」
母親も女の子の手を引いて走り出す だが
ドン
「あっ!」
逃げ惑う人の波にぶつかられ女の子は母親の手から離れ飛ばされてしまった
「ぅ、うう」
そして飛ばされた先は
「ぁ、、あ」
穢れの真正面だった
「おい!子供が穢れの前に!」
「逃げろ!!」
それを見た大人達がそう叫ぶが
「ぁぁぁあ、、、」
女の子は恐怖のあまり動けない
そして
「ガァォァ!!!」
ついに穢れが誕生した
大きさは横も縦も10mあり体の大部分は蜘蛛だがその背には大きな翼が生えていた
「鈴!!」
母親が女の子の方は向かおうとするが
「馬鹿やめろ!死ぬぞ!!」
「巫女様を待ってろ!」
他の人が止まる
「鈴!!鈴!」
母親もわかっている 今行っても自身も娘も死ぬということを
「頼む!早く巫女来てくれ!!」
「お願い!」
そう民衆は願うが都合よく直ぐに巫女が来るなんて言うことは無かった
「ガァァ!!」
穢れの前足が振り上げられる
「鈴!!!」
「きゃー!!」
母親の悲痛な叫びも虚しく前足は女の子を踏み抜
ズバン!!
「ぇ?」
く前に前足が切り落とされた
「ギャァァ!」
前足を切り落とされた穢れは叫ぶ
「た、助かった?」
「い、いったい誰が?!」
女の子が潰される光景を想像していた民衆は女の子が助かったことに困惑しその原因を探る そして
「最初の巫女仕事がこんな劇的なものになるなんてね」
穢れの横からそんな声と共に一人の少女が現れた
「君大丈夫?」
そして女の子に駆け寄るとそう声を掛けた
「う、うん、、、お姉さんは?」
女の子がそう聞くと
「私は、、、」
少女は少し考えこむ
「ガァァ!!」
そんな少女に穢れが襲い掛かって来た
「西行妖・五分咲」
ドカン!!
「ギャァァァ!」
しかしそれを少女は刀で受け止めるどころかなんと弾き飛ばした
「私は花の様に華やかに鳥の様に羽ばたき風の様に闇を吹き飛ばし月の様に君みたいな子を照らす、、、ただのお姫様よ!」
そしてそう女の子の問いに答えた
「さて!お姉さんが穢れを倒しちゃうから君はお母さんと一緒に居てね」
「う、うん!」
少女に言葉のよって恐怖は収まり女の子は母親の下へ向かうのであった
「さて」
少女は弾き飛ばした穢れを見る
穢れはすでに体制を立て直しており今にも襲いかかってきそうである
「首切り落とせば勝てるよね」
そして少女がそう呟いたと同時に
「ガァァァ!」
穢れが少女目掛けて襲いかかってきた
「遅い」
シュ
ドカン!
少女は軽々と攻撃を躱すと
「落桜」
ズパン!!
回避した時に空中にいたことを利用して落下の力を足した斬撃を穢れの首に叩き込んだ
「、、、流石に一撃じゃ無理か」
少女の斬撃は穢れの首の4割を切り裂いたが絶対には至ってない
「、、、蜘蛛の脊椎って背中の方にあるんじゃないの?わからないな」
少女がそう呟くと
「キシャー!!!」
ドン ドン ドン
穢れが口や体から毒液をものすごい速度で射出してきた
「、、、遅いうえに狙いもダメ」
しかし少女は呆れた様子でそう言うと
シュ シュ シュ
軽々と躱し
「次は下から、、、西行妖・六分咲」
ズパン!!
「ギャ!!!」
穢れの首が上下ともに4割ずつ切られた
「神威
少女の突き出した右手の前に1m大の光の玉が現れる
「桜吹雪」
そしてそれが光線として穢れに放たれた
ドカン!!!!
「ギャァダァ!!!」
その一撃によって穢れの意識は消え去った
「、、、ぁよし」
少女はそう呟く
「ひとまずこの穢れは私が倒しましたが他にも出てくる可能性もあるので皆さん気をつけてください!」
そしてそう注意喚起を行う
「「は、はい!」」
あんな大きな穢れを一人であっさりと倒した人間の指示にたとえ少女だとしても皆従う
しかし
「あ、あの貴方は一体どこ所属の巫女様なんですか?」
「貴方ほどの強さを誇る巫女様をここに居る誰も知らないなんておかしいです!」
謎の少女の正体が気になってしまい結論皆足が進まずに居た
「えっと、、、」
少女がどう答えたものかを悩んでいると
「よくやった」
横から一人の少年が現れ少女の名を呼んだ
「「なっ?!!」」
その正体に皆が絶句する
「「つ、月詠零様?!!」」
なにせ男ながら月詠家次期当主候補と目されている月詠零本人が居るからだ
「あ、零
ビュン
「 」
「零様。ご命令通り穢れの捕縛完了いたしました。護送用の部隊も今向かっているそうです」
少女はそう零に言う
「相変わらず仕事が早いな。流石俺の秘書だ」
そして零が少女にそう言うと
「「えっ?!!」」
皆驚愕した
「零様って護衛とか秘書とか嫌がってるって話じゃ、、、」
「そんな零様が秘書にするほどなの」
「と、というかさっき最初の巫女仕事って言ってたぞ?!」
「た、確かに?!こ、これが初陣なのか?!」
口々に少女への驚愕の言葉が掛けられる
「さて皆さん!まずはお怪我無いようで私も安心しています。そしてお願いなのですが彼女の顔写真を上げるとは一週間後の15時まではお控え頂きたい。というのも彼女はまだ学生の身でな。卒業式までは静かに過ごさせてやりたいんだ。今日救われた恩をと考えるならそれだけ守ってあげたくれ」
そんななか零はそう言った
「「も、もちろんです!」」
助けられた人達はそれにもちろんと言った様子で頷く
「ありがとう。ただ流石に今回の一件全てを誤魔化すのは無理だ。その時に俺の秘書ってただ紹介されるのは味気ない。百花姫って言う名前でこの子への賞賛を広めてくれ」
そして零はそう言うのであった
「ということで百花姫。食べたがってた小籠包だ。輸送班が到着するまでの間食べて待ってな」
そう言うと零は少女に手に持っていた小籠包を渡すのであった
「、、、買う前に来てくれませんか?」
「1人で大丈夫だって信じてたからな」
「っ!今回はそれで騙されますよ」
少女は顔を赤くしながら小籠包を食べるのであった
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