大火

「なるほどね、、、あなた鳳凰家だけじゃなくて防人家も敵に回す気?」

零花がそう言うと

「防人家はちょっかい出すだけだよ。敵対までは行かないよ」

零花はそう返した

「というか、、、そこで燃え尽きてる風香ちゃんが悲しむから敵対とか無理だよ」

そしてそう付け加えた

「それもそうね、、、にしても」

零花は風香の方を向いた

「さっきまでのあのかっこよかった姿はどこへ行ったのかしら?」

そこには緊張が抜け切った風香の姿があった

「本当にあの子ぶっつけ本番でやったの?」

「ああ。百花に襲われてここがどこかを理解したし、手土産なんか持ってるわけが無い。それなのに風香ちゃんは誤魔化したんだよ。いや、、、証明したんだよ」

零は誇らしげにそう言う

「ふふ。そんなに風香ちゃんを褒めると彼女が嫉妬するわよ」

「「はっ?!」」

いきなりの爆弾発言に風香と百花は目を見開く

「は?!か、彼女って?!だから違うって!!」

零は顔を赤くしてそう言う

「お兄ちゃん?!!どうゆうことよ!?」

チャキン

風香は刀を抜いて零に切り掛かる

「あっ!」

そしてあまりの状況に意識を奪われていた風香は出遅れた

シュ

「当たるか!」

しかし普通に零はそれを躱した

「お兄ちゃんに女がいるなんて!お兄ちゃんを殺して私も死ぬ!!!」

百花は追撃してくる

「風香!守って」

「え?!あ、はい!!」

(えっと、ああいう敵は)

「防人流・石垣」

ガキン

「「おー!」」

百花の斬撃を塞いだ技に零と零花は感嘆の声を上げる

「どけぇ!お兄ちゃんにまとわる女狐が!!秘書とか言ってエッチなことするんだ!!」

「しないわよ?!」

「何言ってんだ?」

「本の読み過ぎよ、、、」

パチン

零花が指を鳴らすと

「あれ?」

風香と百花はいつのまにか座らされていた

「俺に彼女は居ないし作る気も無いから安心しろ」

風香が混乱しているうちに零がそう言って騒動は収まるのであった





「それじゃー、風香ちゃん。息子をよろしくね」

「はい!お任せください」

零花の言葉に風香ははっきりとそう返し

「お兄ちゃんに手を出したら殺す!」

「なら一生殺されることはなさそうですね」

百花の言葉にはそう呆れた様子で返した

「じゃ、元気でな」

「「ええ(うん)」」

こうしてドキドキ実家訪問は終わりを告げるのであった





「それで次は話的に横須賀にある世界巫女管理局・本部研究所で世界巫女管理局技術部門長の柊百花様と会うんですよね?」

風香が車に乗り込みながらそう聞くと

「ああ。俺の師匠であり、この世で俺が恐る二人の内の一人だ。ちなみにもう一人は希麟だ」

零は車のエンジンを掛けてそう言った

「なるほど、、、ところで今気がついたんですけど、妹さんと師匠さんの名前同じなんですね」

月詠百花と柊百花、、、同じ百花なのである

「ああ、、、それなんだけどな。俺の父親が師匠の弟なんだよ」

零はそう答えた

「柊百鬼と月詠零花から取った尚且つ自身の姉と相棒だった百花という名前を妹に付けたって父さんが昔言ってたな」

「なるほど」

「先に言っておくと死んでるぞ」

「っ!!」

風香は息を呑んだ

「事故死だ。研究中の事故でな。死体の損傷が激しかったから葬式は辛いものだったよ」

零は顔を顰める

「、、、」

「というのが表の真実」

「え?!」

「本当は父さんは師匠の妹だ」

「は?」

あまりに意味不明な言葉に風香は絶句する

「えっと、、、赤ちゃんはキスしたらできるものじゃ無いですよ?」

驚きのあまりそんな子供みたいなことを言うと

「知ってるわ。馬鹿にするな、コウノトリが運んでくるんだろ?」

零はさらに子供っぽいことを言った

「、、、えっと」

「信じるな。わかってる、、、師匠がなんかの技術で妹に生やさせたらしい」

「、、、なるほど」

「まー、父さんは男装してたから俺もあの時初めて知って驚いたよ。ちなみに百花、、、俺は柊百花のことは師匠と言う。風香ちゃんは柊の方で呼んでくれ。百花はこのことを一切知らないからバラすなよ。家族会議が勃発する」

「は、はい」

風香はなんかとんでもない爆弾を握らされたなと感じるのであった

「で!ここまでが母さんと師匠が認識している話」

「ん?!」

(零花様や柊様が認識している話が今までの話、、、というかはまだお二人が知らない話がある?)

さらにとんでもない話に風香は体が震える

「父さんは殺された」

「っ?!」

「俺が話すのはここまでだ。これ以上進むなら覚悟しておくんだな。マジで絶暗の世界だから」

零はそう言うと車を出した





「あの?」

風香は零に声を掛ける

「ん?」

「零さんは私に何をして欲しいんですか?」

風香がそう聞くと

「秘書業務。最近周囲がうるさくてな。そろそろ秘書取らないとと思ってだけど良い子が居なくて困っていたら風香ちゃんという満足以上の才能を持った風香ちゃんを見つけてって感じだ」

零はそう答えた

「にしては私に色々と裏を見せてきますよね」

「自分が見つけた才能の爆弾を何も知らずに踊るお人形にする気は無いんでな。俺に害する存在になるリスクがあってもな」

「つまり、秘書業務をしながらも零さんの想像を超えるようなことを、、、ってことですね」

「そゆこと!さて、、、師匠に会いに行きますか!」

「はい!」

そうして2人を乗せた車は横須賀へ向かうのであった







「お、大きい」

車の窓から見下ろした景色に風香はそう言葉を漏らす

「東西に4km北南に7kmの巨大拠点だからな。そもそも星ノ夜空はここを参考に作ってるからな。だから学園もあるんだぞ。横須賀特別巫女学園って言ってな、、、戦闘力のアベレージは他の学園と遜色ない。だがそれは9割の一般よりも低い子と1割の突飛した子によってアベレージがそうなってる特殊なタイプだ。そして9の子も知略や開発力、技術などでは他校とは比べ物にならない盤石さを持つ。総合力及び戦闘となると最強と言えるだろうな」

「さ、最強」

「10の力を持つ百花でも7の力を持つ巫女5人に囲まれればキツイ、、、その上バックアップに大きな差があるとなればな、、、確実に負ける。そして集団戦となればもう敵は居ないだろうな、、、噂によれば3級の穢れも討伐できる可能性すらある」

「え?!3級って、、、完全に巫女管理局の地方局が総出ででどうにかするレベルですよね?」

風香は引き攣った笑みでそう聞く

「、、、少なくても地方局の9割の武力は確実に出せるだろうな。流石に地方局を大きく超える戦力は無いとは思うが、、、師匠のことだからなー」

「確認なんですけど、、、柊様に会いに行く方が零花様に会いに行くよりも危険というのは何なんですか?」

風香がそう聞くと

「マジで何してくるかわかんないんだよ。いきなりロケランぶっ放してくる程度で済めば御の字だな。いやマジで」

「ロケラン?!」

(世紀末?!)

「さて、、、車を降りた瞬間から車に戻るまで一切油断するな」

零は鋭い目をしてそう言った

「はい」

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