火鳥

「ん?」

風香は目を覚ます

「朝か。今日手術するのか」

そして洗面所に向かい顔を洗う

次に着替え始めながら

「朝ごはんは昨日教えてもらった食堂に行けば食べられるんだよね?」

そう思い出し最低限の身支度と軽い化粧をして食堂に向かうのであった




「えっと?並べば良いのかな?」

食堂に着いた風香は周囲の状況を見てそう判断する

そして列に並ぶと

「あれ?」

「新顔か?」

「だよね?」

前に並んで居た同い年くらいの子から話しかけられる

「え?う、うん。昨日の夜にここに着いたんだ」

風香がそう言うと

「へー!それじゃー、まだここには慣れてないんだね」

「だったら俺達で案内しないとな」

「大丈夫だよ。ここはみんな優しいから」

三人はそう優しく言う

「そ、そうなんだ」

(この人達も春奈ちゃんみたいな過去があるのかな)

昨日の春奈の重い過去を聞いた風香はこの三人にも重い過去があるのではと怖気ついてしまう

「「、、、」」

それを見た三人は

「私は元々邪神信仰の村に生まれてそこで生贄にされそうになったところを助けてもらってここに来たんだ」

「俺は殺し屋としてここにいる朱雀兄妹を殺そうとしたらあっさりと返り討ちにあってそのまま」

「ぼ、僕はとある名家の末っ子何だけどいじめられていてそこを助けられたの!」

各々の過去を話した それは距離を縮めようという好意からの行動なのだが

「っ!!」

風香にとっては逆効果であった

「、、、それで?君はどうしてここに?」

その様子に気が付いた一人がそう聞くと

「え?わ、私は、、、魔力不適合症の治療とここで働くためにだよ。だから、、、その、みんなみたいに確固たる過去があるわけじゃ無くて。ごめんね」

風香はそう言うのであった

「ごめんって、、、暗い過去は無い方が良いって」

「そうだよ!そう言う人だってなじめるよ!」

残りの二人がそう返す

「そ、そうかな」

そしてそう言われて風香は少しだけ笑顔になるのであった

「次の子達!」

するといつの間にか列が進んでおり順番が回って来た

「はい、どうぞ、、、って、君は確か立花ちゃんだね?」

「え?はい」

「君は今日手術だから、特別メニューだよ」

そういうと前の三人は白米・味噌汁・秋刀魚・漬物と言った中々に豪華な朝飯だが風香には

「黒いおかゆ?」

どす黒い色のおかゆがお盆に乗せられた

「「あっ!」」

それを見た三人は明らかに顔を顰める

「え?なんですこれ?」

風香がそう聞くと

「それは、、、霊起粥って言ってね」

「幽霊になった人ですら起き上がるほど栄養価が高いお粥だよ」

「味も悪くないんだが、、」

「「触感と色が最悪」」

三人はそう言った

「え?」

「大丈夫よ。食えない物ではないから」

「は、はい」

そうして風香と三人は朝食を取るのであった




「うぅ。ご馳走様でした」

(味はまだ良いけど触感がケーキとこんにゃくを混ぜた物みたい)

どうにか霊起粥を食べきった風香の顔色は悪い

「お、お疲れ様」

「食事でお疲れ様はどうなんだ?」

「間違っては無いでしょ」

そして3人がそう言い終わると同時に

「あ、居た」

後ろから声が掛けられる

「あ、春奈さん」

それは春奈だった

そして

「「春奈会長!」」

3人は驚く

「「会長?」」

風香が首を傾げると

「あー、昨日話した学園って言うこの星ノ夜空に住む主に子供が学ぶ場所があってね。私はそこの生徒会長なんだよ」

春奈はそう答えた

「なるほど」

「それで風香ちゃん。零様が病院地帯へ来るようにとのことだから特に用がないなら付いてきてもらっていいかしら?」

「あ、はい。朝ごはん食べ終わりましたし大丈夫ですよ。それじゃ、皆さんお世話になりました、、、また会いましょうね」

「「またね(な)」」

こうして上京初の朝食は終わるのであった





「ここが星ノ夜空病院だよ」

春奈によって案内された建物は

「え?大きい、、、いや、大きすぎるでしょ」

高さ100m近くあるであろう真っ白な病院であった

「諸事情で星ノ夜空は医療関係者の数が多くてね。結果こんな大きな病院になってるの」

「な、なるほど」

(だとしても大きすぎるでしょ)

風香がそう考えていると

「ちなみにこの病院が暇じゃなくなったら終わりだと思って言われてる。それほど医療技術を求める人が出たってことだから」

春奈がそう言ってきた

「間違い無いですね」

「それじゃー、入りましょうか」

「は、はい」

二人は病院に入った

「本来はまず受付に行くんだけど今回はもう部屋わかってるから向かうよ」

「はーい」

二人は受付を素通りしそのままエレベーターに乗る

「25階まだある」

エレベーターには25階までのボタンが存在している 

そして

「行くのはまず2階ね」

春奈はの2階のボタンを押した

「1階上がるだけなら階段でも良かったんじゃ、、、」

「エレベーターの方が近いのよ。ここって東西南北の四方位にそれぞれエレベーターがあって八方位の方角にエスカレーターかあるのよ。下手に上がる場所間違えるととんでもない遠回りになっちゃうの。この西エレベーターで行けば真正面にここの院長である朱雀希麟様に会えるから」

風香の疑問に春奈はそう答えた

「なるほどね」

そして風香が納得し終わると同時に

「着いた」

2階にたどり着いた

そしてエレベーターから降りると目の前に

{院長室}と表札のある扉があり

{重要診察中}と掛札が掛けられていた

コンコン

春奈が扉をノックすると

「ん?来たか。どうぞー」

中から男性の声が聞こえていた

「入るよ」

「はい」

そして扉を開けると

「初めまして風香さん。僕は朱雀希麟、、、この病院の院長です。これから恐らく君を最も叱る人間になる嫌われ役だけどよろしくね」

20代前半程度の男がそう風香に言ってきた

「え?は、はい、、、よろしくお願いします」

中々にインパクトのあるあいさつに風香はタジタジだ

「希麟様、、、混乱させてますよ」

後ろから春奈がそう言うと

「挨拶はインパクトが大切だって聞いたからしてみたんだけど、、、、失敗したな」

希麟は恥ずかしそうにそう言う

「まー、初めまして。僕が今回君を手術するお医者さんだ。成功確率は前例が無いからわからないけど少なくても死ぬことはほぼほぼ無いから安心していいよ」

「はい」

希麟のはっきりとした言葉に風香は安心する

「ただ、もう一度しっかりと検査をしよう。

病状が変わってたりしたら危ないからね」

そう言うと希麟はパソコンを使いながら

「神柱、神柱。院長室まで至急」

そう誰かを呼んだ

「誰ですか?」

「僕の親戚で助手みたいなもの、、、医者レベルでは無いけど看護師レベルは超えてる医学を持ってる15歳。風香ちゃんと同い年だね」

風香の問いに希麟はそう答えた

そして同時に

ガラガラ

「先生来ました」

「っ!」

とんでもない美少年が現れた

「今から風香さんの検査するから手伝って。後3時間後にオペだからそれまでに準備も頼んだ」

そんな美少年に希麟はそう指示を出した

「分かりました。では風香さんこちらが病院服です」

少年は風香に病院服を渡す

「あ、ありがとうございます」

「僕は鳳凰神柱と言います。これからよろしくお願いしますね」

「え?鳳凰?」

鳳凰という苗字は

(日本全体の災害を沈めている六神家に勝るとも劣らない名家であり護災において世界最強、、、それが鳳凰家)

とんでもない名家の家名である

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