過去
「おっ?どうしてだ?」
風香の反論に零は嬉しそうにそう聞く
「私も努力すれば何でもできるというわけで無いことは分かります。例えば努力を重ねれば神に勝てるなどと思いません。でも努力する才能でも努力の仕方を工夫すれば凡人でも勝てます。私だって焔ちゃんをある程度追い詰めることが出来ました」
風香はまず言う
「そうだな。確かに天才中の天才であり努力も欠かさなかった防人の次期当主に風香ちゃんは間違いなくあと数歩のところまで追い詰めた。だが風香ちゃん。君は魔力不適合症で死にかけている。努力しても結果は無意味になるぞ」
それに零はそう返す
「そ、それは努力以前の運の問題では?いや、確かに努力すらできないから本人の努力で変えれるということにはならないのか」
そしてそれに風香は黙ってしまう
だが
「いや、これは俺の言い方が悪かったな。確かに努力の話をしているのにそれ以前の話を持ち出すのは問いとして問題があるな。すまない。」
零も自身に非があったと認め謝罪する
そして
「俺が言いたかったのは努力すればとかそう言うステージに立てているだけで恵まれているという点だ。この工場地帯には元々はそのステージに立てていなかった物や立つことが出来たが闇によってそれを隠されていたような人が多くいる。だからそのことを頭に入れておいてくれ。この世界はクソだ。平気で人を食い物にする。信じれるか?巫女の名家で二つ子が生まれそのうちの一人が男の子だったからって呪いをかけてもう一人の女の子や姉達のための人柱として扱ったり、最強の巫女を作るために関係者の人権を完全に無視してデザイナーベイビーを創り出し目も覆いたくなるような人体実験を行ったりしていたりするんだ、、、本当にクソだ。神も仏も無い。そんなときに神に頼らない、自由な挑戦による支配の統治を目指すようになったんだ」
自身の言いたい話と自身のルーツを語った
「なるほど、、、つまり世界が希望に満ち溢れてると思うな。俺達で希望を創っていくぞってことですか?」
そして風香がそう言うと
「ああ!俺は希望を作りたい!そして俺が渡した希望によって羽ばたいた人間が別の人に希望を渡していく。そんなシステムを作っていきたい。そう考えているんだ。」
零は笑みを浮かべてそう言う
「、、、夢見すぎでは?」
思わず風香はそう言うと
「夢を見れるほどの力と頭はあるぞ」
「すっごい自信」
「ここが集団浴場です。ここ星ノ夜空研究所ではここ以外に体を洗うことのできる場所はありません」
ラーメンを食べ、零の考えと夢を聞いた風香は塔へ戻って話されていた通り春奈によって塔内部を案内されていた
「確かにとても広いですがここだけなんですか?不便では?」
風香がそう言うと
「ここには私含めて子供が多くいます。そしてここに居る子供は大小問わず問題を抱えています、、、そんな子供は時折無理をしてしまいます。そしてそれを放置していればいつか限界が喫取り返しのつかないことが起こります、、、その前に素っ裸にして体の調子を見ようという零様のアイデアです。例えば強くなろうとして無理な特訓をした子が居たら必ず体に出ます。それを浴場で誰かが発見してそのまま病院に強制連行されてってバレて入院ということになります」
春奈はそう説明した
「な、なるほど。確か代表のお医者さんが強制入院執行権を持っているんですよね?」
「ええ。あと希麟様の代行者5人ほども代理で持っていますね、、、では次はこちらです」
「ここが食堂です。星ノ夜空では衣食住全てが表向きは最低限保証されています」
食堂を説明する春奈はどこかあきれた様子でそう言う
「表向きは?」
そしてそう風香が聞き返すと
「最低限のご飯でステーキが出てくるってどう思う?」
春奈はそう砕けた口調で言う
「、、、零さんって学校行ってないんですか?」
「ないよ、、、あの人マジで頭いいから」
「なるほど」
「本当に零様は常識が無いというか、、、本当に」
「確かに。そういえば春奈さん」
ふと風香は春奈の名前を呼ぶ
「どうしたの?」
いつの間にか砕けた口調になった春奈に風香は
「その、、どう考えても普通の人間がここに居るとは考えにくいですから何かしら私みたいに触られたら困ったり嫌な過去がある人も居るのかなとは思っています。でも、零さんの話を聞く限りこれからお世話になる人の事を何も知らないのも逆に地雷を踏んでしまうかもと思うんです。なので何で春奈さんがここに居るのか教えてくれませんか?」
申し訳なさそうにそう言う
「、、、あれ?もしかして零様から星ノ夜空の規則を教えられてない?」
すると春奈は驚いた様子でそう聞き返す
「え?ええ。何も」
そして風香がそう返すと
「なるほど。だったら手術後暇になるだろうしそこでは全部教えちゃうか」
春奈はそう言い
「ここでは相手の過去に土足でズカズカと踏み込むことが推奨されてるんだよ」
そう告げた
「はい?」
それに風香は驚く
「え?踏み込むことが推奨されてる??何で」
そしてそんな風香の問いに
「零様のお考え。一度聞いて黙ったら飲食店とかに連れ込んで力づくで口を割らせる。逃げたら追いかけ回す。でも一言「嫌だ」や「話したくない」と言われたならそれで終わり。過去は無くならないがそれに縛られては未来に進めない。誰かに話せればそれは少しは前に進める。黙ってしまったり逃げたりしてしまうことはあるかもしれない。でもそれを続けていたらどんどん過去に縛られて苦しむことになる。一言でも話せれば少なくてもその場で止まることになる。止まってしまったなら零様が未来に引きずってでも連れていく、、、って私が少し偉くなった時に零様に言われた時の言葉だよ」
春奈はそう返した
「なるほど、、、かなり強引ですね」
「らしいね。でもここはそれぐらいしないと進めない子が多いからね。確かに大きな傷を負うことにはなるけど何もしなかった時の致命傷に比べればまだマシだからね」
「慣れるのに時間が掛かりそう」
「面倒見て上げるから大丈夫だよ。それで私の過去だよね」
「はい!」
「私は無知者だったから特に問題もないしね」
「無知者?」
聞きなれない言葉に風香は首を傾げる
「あー、先に過去を話しちゃうね。まず私って両親の顔知らないんだよね」
「っ!」
風香は絶句する
だがそれでは終わらない
「私を育ててくれてた?のは先輩達だった。何の先輩達かと言うと風俗嬢の」
「はぁ?!!」
(え?捨て子ってこと?)
風香は春奈の過去を察する
だがそんな優しい過去では無い
「どうやら私がいた場所は裏風俗っていう場所らしくてね、ルールも風俗嬢を殺すな以外は無かった。しかも殺した場合も金さえ払えばお咎め無し。そんな環境で私も6歳からかな?風俗嬢として働かされていたのは?それで14歳まで普通に働いていたら零様がその裏風俗の運営者全員殺して私達を引き取ったの」
「、、、ぇ?」
「それでその時に私の体はボロボロだったらしくてね。穢れを使った再生医療をして治したらしいよ。それでその後、零様は19歳以下の風俗産業の参加の禁止としと19歳以上でも西にある学園の卒業試験突破するまでは学園で勉強しないといけないという規則を作ったんです。私は19以下だったのでそのまま学園に叩き込まれてって感じの過去ですね」
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