大地

キィー

「よし、到着」

「すっごい工場地帯」

辿り着いたのは完全に工場地帯の一角にあった地下駐車場であった

「降りていいよ」

「はーい」

風香は車から降りる

すると

ガチャ

駐車場の一角後ろの扉が開いた

「零様。お帰りなさいませ」

そしてそこから一人の高校生ぐらいの少女が現れた

「そちらの方は?」

そして少女は風香を見る

「福岡で見つけてきた超々逸材。俺の表向きの秘書にしようかなって。ちなみに名字は立花だ」

零はそう説明する

「え?」

「っ!」

(立花のこといきなり話したら!)

風香は自身の名字から悪印象を持たれるのではと焦る

「ちょ、超々逸材って、、、超逸材ですらあんなとんでもない人材なのに超々逸材って、、、どれほどの人材を」

しかし少女は立花なんて部分には一切興味を見せず超々逸材という部分に驚愕する

「え?」

そのことに風香は拍子抜けといった声を漏らす

「才能の塊だ。恐ろしいほどのな、、、じゃなくちゃ秘書にしよう何って思わないよ」

「ですよね。あれだけ秘書置きたがらなかった零様ですから。となると今からあの店に?」

少女がそう聞くと

「ああ。ということで春奈、悪いが一先ず頼んでおいた風香ちゃんの部屋を頼む」

零はそう春奈にそう指示した

「了解いたしました。お帰りになりましたらどうなさりますか?」

「楓の塔の最低限の案内を春奈に頼みたい。浴場の説明が必要だから俺じゃ駄目だからな。明日風香ちゃんに人口穢れの医療移植手術するから4日後に星ノ夜空全体を案内するからその時に一緒に来てくれ。近いうちは春奈に風香ちゃんが慣れれるように手伝いをしてほしい。頼めるか?」

「もちろんです。では風香さん、零様とごゆっくり」

そう言うと春奈は去って行った

「それじゃー、行こうか。風香ちゃん」

そう言うと出て行こうとする

「は、はい」

そしてそれに風香もついて行くのでした




「おっ!零の坊主!」

「零さん!」

「零お兄ちゃん!」

工場地帯を歩くと至る所から零を呼ぶ声が掛かる

「みんなお疲れ様!明日もよろしくだ、あと俺の後ろに居る子は立花風香ちゃん。俺の表の秘書になってもらおうと考えている。仲良くしてあげてくれ!」

零は皆に風香の紹介をする

「「なっ?!」」

それを聞いてみな驚愕する

(だから!立花はまだマズいですって!!)

再び自身の名字から悪印象を持たれるのではと焦る

だが

「「ひ、秘書?!!」」

やはりこの工場地帯の人間はそんななどどうでも良いのである

「秘書って零坊が?!」

「あんだけ月詠のおばさんに言われていたとしても拒絶していた零様が?!」

「秘書を?!」

というか零が秘書を取ろうとしていることに驚愕する

「超々逸材なんだよ。風香ちゃんは魔力不適合症だ」

「「なっ?!」」

「その状態で筋力も衰えていたにもかかわらず防人の次期当主を追い詰めたほどの知力と発想力とそれを可能にした動体視力がある。他にも俺ですら恐れを覚えるほどの才を持っている、、、末恐ろしいな」

「「、、、」」

零による風香の説明に皆沈黙する

「ちなみに明日魔力不適合症の手術するからそれが終わったら雇用契約もあるから鍛える、、、希蘭ちゃんよりも強くなるだろうな」

「「なっ?!」」

「希蘭ちゃん?その子強いんですか?」

風香が皆の反応を見てそう聞くと

「俺の妹、百花よりもはるかに強いな」

零はそう答えた

「え?百花様って中等部二年の時点で五級の穢れを祓ったっていう、、、それよりも強いって、、、」

風香が希蘭のヤバさを察し顔を青ざめさせる

「希蘭は、、、同じく中等部二年の時点で四級の穢れを決死で祓ったな」

「よ、四級の穢れを?!」

(四級の穢れって高等学園主席卒業者がどうにかってレベルじゃ、、、それを)

風香はまだ見ぬ希蘭のヤバさに戦々恐々する

「はは。それよりも店に辿り着いたぞ?」

「、、、え?」

零の言葉に風香は困惑する

何故ならば

(右には神風堂と書かれたラーメン屋。左は牛貴族と書かれた居酒屋、、、あの和食の後に食べるメインディッシュに足る物を出せる店なんてどこに?)

右にはただのラーメン屋、左にはこれまたただの居酒屋しかない

「え?零さん、、、その、私の目に映る店はラーメン屋も居酒屋しかありません。どちらも素晴らしい料理を出す店だとは理解していますがとても電波塔の最上階という素晴らしい環境で食べた素晴らしい和食の後に食べるメインディッシュに足るようなものを出せる食事は無いと思いますが?」

そして零にそう聞くと

「おっ!俺に言われる前からラーメン屋も居酒屋も素晴らしい料理を出す店と言えるのはすごいな。今までこのルートを通って来た人間の9割以上がそのことに気が付かないんだがな」

零は感心した様子でそう言う

「このラーメン屋が今日の夕食のメインディッシュだ」

「、、、なるほど。何が言いたいか理解しました」

「本当かー?食べた後に答えを聞くとしよう」

そう言うと零は店内に入った




「はい、魚介とんこつラーメンお待ち!」

店主はそう言うと零と風香の前にきわめて普通のラーメンが出された

「「いただきます!」」

二人はそう言うとラーメンを食べ始める

「美味しい!」

「いつ食べてもおいしいな!」

「うれしいこと言ってくれるじゃないか!」

二人の喜ぶ顔に店主も嬉しそうだ




「ご馳走様でした!」

「早いな」

零がまだ半分残っているのに風香はすでにスープも飲み干していた

「家でも食べるの早かったですから。それでこのラーメンがメインディッシュになっている回答を言っても?」

「ああ。回答は?」

零が笑みを浮かべて問う

「最初の和食は技術の頂を集めて完成された電波塔で職人の至高の思考と技術によって作られた食事でした。そして今回のラーメンも店主さんの至高の思考と技術によって作られた食事だと思います」

「そうだな。このラーメンは店主が30年掛かって辿り着いた通過点だ」

「私の回答は、、、場所は関係ない。そこに居る人間が大切だ。そして生まれは関係ない。生き方、、、努力が大切だということです」

風香はそんなまっすぐな答えを答えた

「なるほど、、、つまりまとめると天の電波塔と地の工場地帯、、、文字通り天と地の差がある場所だがそこに居る人間に変わりはなくどちらも素晴らしい人間が居る。そして同じように生まれた家が良くても悪くても本人の努力で未来は代えれる。そして生まれのいい人間に並ぶこともできるということか」

「はい!」

零のまとめに風香はそう返した

「50点だね」

そして零はそう返した

「え?」

「要点はしっかりと理解できてる。これは素晴らしい、、、だが、一番大事な二点を見落としている」

「そ、そんな」

風香は落ち込む

「落ち込む必要は無い。俺は失敗と敗北を大切にしている。その二つは大きく成長することのできるチャンスだ」

そんな風香に零はそう言う

「そして今の答えで風香ちゃんの問題点を理解できた、、、その問題を治すのか伸ばすのかはこれから決めて行こう」

「は、はい」

そしてその言葉に風香は少し笑顔を取り戻す

「それで模範解答だが、、、一つ目の見落とした重要な点は天の電波塔と地の工場地帯、、、文字通り天と地の差がある場所であるという場所だ。答えを言うとどっちも変わらないぞ?」

「え?」

「電波塔は技術の頂なことは間違いない。だがこの工場地帯も同じく技術の頂だ。考えてもみろ、ボロボロの風香ちゃんの体を治せる技術がある場所だぞ?」

「っ!」

零にそう言われ風香は眼を見開く

(確かに)

「そして二つ目の重要な点は生まれた家が良くても悪くても本人の努力で未来は代えれるっていう点だ。断言する、無理だ。そんな夢物語は存在しない」

零はそう断言する

「その、、、それは違うのではないでしょうか?」

しかし風香はそれに反論した

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