天空
「わー!綺麗!」
風香は展望台から見る東京の夕焼け景色にそう感嘆の声を漏らす
「俺もこの景色は好きだ。人の息遣いを感じれるからな。夜になるともう少しわかりやすいんだが一面、電気の光で輝いていてな、、、その光を消したり電気じゃなくて炎の光にしてしまわないように頑張ろうって思えるんだ」
横から零がそう言う
「なるほど」
「俺の夢は三原神の統治方法の良いところ取りの統治をすることだ」
そして自身の夢を語った
「具体的には?」
「何らかの才能を持った人間が上に行き支配する統治。いわば自由な挑戦による支配の統治ってところだな」
「そんなことできるんですか?」
「色々と問題があるがな、、、出来る」
「へー!でも結局巫女中心の社会にはなってしまいますよね?」
風香がそう残念そうに聞くと
「その対策も考えてるよ。というか巫女も人間相手には絶対優位ってわけでもないぞ。俺は下位の巫女なら普通に勝てるし学生相手だったら防人の次期当主相手でも素手で勝てる」
零はそう答えた
「え?す、素手で?!」
風香は化け物を見る目でそう言う
「素手の部分は風香ちゃんでもがんばればできると思うぞ?、、、おっと、ディナーに行くか」
「え?え、、は、はい」
(あれ?零さんってかなりぶっ飛んでる?)
風香は零の素顔に気が付いた
「ご馳走様でした」
「、、、え?」
ディナーを食べ終わった風香は唖然としていた
(一番上の階にあるレストランの和食のフルコース?なんかマツタケとか聞こえたよ?)
どう考えもてとんでもない金が掛かっている
「どうした?一瞬で仲間が穢れに殺されてその事が信じられない巫女みたいな顔をして」
そんな様子の風香に気が付いた零がそう聞く
「なんちゅう例を出してるんですか、、、とんでもなく高そうだなと思って」
「2人で10万円ちょい」
「、、、ダメだこの人。金銭感覚おかしいよ」
風香はもはや投げ出した
「何だろう。この店で全く同じことを誰かに言われる風香ちゃんの姿が思い浮かぶ」
「何言ってるんですか?ありえませんよ、、、万が一大金が手に入っても実家に仕送りしますから」
零の言葉に風香はそう返したが
「45%」
零は一言そう呟いた
「何です、今の?」
「さあな?まー、覚えておいてくれ。それよりもお腹一杯か?」
「はい。丁度って感じです」
「そうか、、、接待ならもう少し高くて量のあるコースを頼むんだが風香ちゃんは仲間候補だからな。丁度が丁度いい」
風香の答えにエレボスは嬉しそうにそう言う
「丁度が丁度いい?でしょうね、、、え?」
「言葉遊びだよ。まー、ネタバラシするとまだメインディッシュを食べてない。それを食べるのに今から来るまで向かえば丁度いい感じに胃が空くってことだよ」
「まだ食べるんですか?コース料理の後にメインディッシュを食べるって、、、え?」
風香は困惑する
「最高の場所で最高の和食を食べた後だから良いんだ。技術の頂を集めて完成されたこの電波塔で職人の至高の思考と技術によって作られる和食。俺は最後にこれを食べさせることで仲間への最初の挨拶、、、そして自分とは何かを見せる」
それに零はそう答える
「っ!」
(零さんが自分とは何かを見せる最後のメニュー、、、どんなすごい料理なんだろ?)
風香は大きな期待を持って店を出るのであった
「どこへ向かうんですか?」
車に再び乗りこんだ風香はそう聞く
「川崎」
「あれ?羽田空港の近く」
川崎は今日風香が昼に付いた空港の隣町である
「空海陸路がしっかりしているからな、、、俺の拠点だ」
「あっ!そうなんですか?!」
いきなりの情報に風香は驚く
「正確には俺ともう一人の科学者と医者の3人の拠点だな。形式上は俺ともう一人の科学者が代表だが医者も内部じゃ何ら変わりがない。というか俺含めてみんな無茶しまくるからその医者がある意味一番権力あるな。なにせ強制入院執行権っていうもの持ってるからな」
「なるほど。でもよくその年で代表になれましたね?」
風香がそう言うと
「師匠脅した」
「え?」
「俺の師匠、世界巫女管理局技術部門長の柊百花を脅して代表になったんだ」
「何してんですか??」
とんでもない零の過去に風香はドン引きする
「いや、俺が作った対穢れ用兵装の作り方を民間にばら撒くと脅したんだ。いやー、あの時の師匠の焦った顔は面白かった。そんなもんばら撒かれた日には大混乱間違いなしだからな、、、しかも俺ならそれやりかねないしで。すぐに特別一級研究員にしてくれたよ」
「脅しでしてもらったって、、、」
風香がそれはちょっとと言った様子でそうい言うと
「元々俺は10歳の時には確実に一級研究員になれる結果は出したんだよ。母さんや副部門長の菜月さんを始めとした関係者からも期待されていたんだが、、、師匠が認めてくれなくてな。それで仕方がなくそうしたんだ」
零は自身の正当性を主張した
「でも、なんで止められたんですか?」
「表向きは子供にそんな権力を持たせたらまずい。本当の理由は俺が人の道を外れかねないと思っていたからだ。いやー、師匠の慧眼には恐れ入ったな。一歩間違えたらヤバかったからな。あ、安心してね。秘書になってもらったとはいえそう言うグレーな場所には触れさせないから。そんなことに関わらせたら師匠どころか医者とその親戚の子に殺される」
「な、なるほど、、、でも百花さん一人で零花様達のご推薦を止める事なんてできたんですか?」
風香は納得したがべつの疑問が出てきた
「ああ。師匠は唯一母さんを止めれる存在なんだよ。研究の実績自体もとんでもないがそれがある上に部門の長は師匠だったから師匠一人の意見で止めれたんだよ」
それに零はそう答えたが
「え?零花様って大蛇様と契約していて一級の穢れどころか神格すらも倒せるほどの強さですね。それを止めれるって、、、どういうことですか?」
風香はさらにそう聞く
「師匠は戦闘力は今の風香以下だろう。だが神威無しで相手の心を読んできてそのまま相手の急所を突いてくるんだ。そんなことされたら相手はガクブルよ。しかも自分が立場ある人間だったらやましいことがバレることになるから逆らえない。あと師匠はキレるとマジで怖い。魂が服従するレベルで怖い」
それに零は怯えてそう説明する
「そ、そんなに」
「はは、、、おっ!見えてきた」
零は左手を指さす
するとその先には
「え?」
完全な工場地帯が広がっていた
「あ、あの?」
「ん?」
「あの料理に見合ったメインディッシュがあの工場地帯で?」
風香は信じられないと言った様子でそう言う
「いや、あの工場地帯だからこそ良いんだ」
しかし零はそう断言する
「というかただの工場地帯じゃないぞ?中央に高い塔があるだろ?」
工場地帯の中心には電波塔の半分ほどの高さの塔が立っている
「何ですかあれ?」
「複合施設だな。住居や避難所、電波塔や倉庫といった多くの施設がある。まー、色々あって作ったんだよ。色々とな」
零は気まずそうにそう言う
「何か闇ありそうなので触れないでおきます」
「そうしてくれ」
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