真実

「ん?ここは?」

風香が目覚めるとそこは

「私の部屋?」

自宅の自室であった

(なんでここに?私は確か焔ちゃんと戦って、、、それで)

「ダメだ思い出せない。焔ちゃんの業火が迫ってきたことまでは覚えてるけど」

風香の記憶は最後に業火が自分に迫ってきていること以降を思い出せない

コンコン

そんな中突如扉がノックされた

「ん?どうぞ?」

(誰?私の部屋にノックするなんて)

家族は自室に入るのにノックなどしてこない そう疑問に思っていると

「目が覚めたようだな」

「え?!」

入って来たのは

「零さん?!」

6日前に倒れていたところを助けてうどんを奢った零であった

「な、なんでここに?」

風香がそう聞くと

「昨日の模擬戦闘を見ててな。それで意識を失った風香ちゃんをうどんのお礼の一端としてここまで運んで来たんだよ」

零はそう答えた

「え?そうなんですか、、、っ!そうだ!結果は結果はどうなったんですか?!」

「普通に風香ちゃんの負けだよ。最後に業火で焼かれてところどころ骨が見えるぐらい焼かれてたよ。あれは中々にグロかったね」

風香が鬼気迫るように勢いの質問に零はあっさりとそう返した

「ぇ?」

そしてそれを聞いた風香は顔から表情が抜け落ちる

(私は負けたんだ、、、そっか、、、うん)

「そうだよね、、、私なんかが焔ちゃんに勝てるわけないもんね。っ!」

「、、、風香ちゃんのあの戦略は見事だった。深い仲の相手限定とはいえあれは本職の浄化ノ巫女でも上位に食い込める実力だ」

「でも結局私には才能が無かった。魔力を扱う才能も肉体の才能も」

零の慰めに風香はそう呟くしかなかった

「いや風香ちゃんに足りなかったのは運だ」

それに零はそう言った

「運?」

「ああ。2つも大病を患うなんて運が悪い」

「え?」

いきなりの言葉に風香は困惑する

「大病?どういうことですか?!」

「それについてなんだがご家族と一緒聞いてくれ。先にご家族には話しておいたから」

そう言うと零は風香に手を貸した 

「は、はい」

そうして風香はリビングへ行くのであった



「あ、風香おはよう、、、」

「「お姉ちゃん、、、」」

リビングに居た母親や弟妹は深い困惑と驚愕の混ざった雰囲気で風香を迎えた

「え?なにこの雰囲気」

そんな雰囲気に風香は困惑する

「風香ちゃんの病気についての説明と、、、俺の正体でだな」

「零さんの正体?」

風香が首を傾げる

「、、、まー、座ってくれ」

エレボスは椅子を引いて風香に座るように勧める

「は、はい」

(なんなの?)

進級テストが落ちたことも少し忘れるほどの困惑を覚えながら風香は椅子に座る

「まず、風香の病気についてなんだが、、、一つ目は魔力不適合症だ」

零がそう言うと

「え?」

風香は何をいってるのだと言う目で零を見る

「あの、魔力不適合症は患えばとんでもない激痛が走るんですよ?」

そしてそう言う

「ああ。そうだな。本人が気づかないはずがない。だが二つ目の病気のせいであり得ないことが起こったんだ」

しかし零は動揺することなくそう返す

「二つ目?」

「風香ちゃんの患っている二つ目の病気は先天性無痛無汗症だ。生まれつき痛みを感じる神経や発汗機能をコント ロールする神経が発育せず、痛みや熱さ冷たさを感じない、もしくは感じにくくなりまた汗をかかないという病気だ。それが原因で魔力不適合症の激痛に気が付かなかった。ただそれでもどこかで限界が来て確実にこの年まで生きていられない。だが風香ちゃんは防人家の次期当主の隣に立ちたいと無理な特訓を行っていた。結果その特訓の成果が不適合症の進行を大きく遅らせた。ただそのためだけに特訓の成果が使われたせいで筋力が成長しなかった、、、二つの病気と一つの要因によって風香ちゃんは魔力を扱うことも強くなることができなかったんだ」

零ははっきりとそう風香に告げた

「そ、、、そんなわけないよ!私は痛みや温度を今まで感じてる!机の角に小指をぶつけたら痛いしお風呂に入ったら熱い!」

しかしそれに風香はそう反論する

「ああ。俺もお母様からそうお聞きして困惑した、、、だが学園で白さんに無理を言って不適合症の検査をしてみたら間違いなく不適合症と判定が出た。結果がもう出てるんだ」

「え?どういうこと?」

風香は困惑する

「、、、あくまで俺の考えた仮定だし自分でもとんでもないことを言ってる自覚はあるが、、、風香ちゃんはとんでもないレベルの想像力があるんだと思う」

それに零はそう言った

「え?」

「例えばお母様が包丁で手を切り出血したとする。すると風香ちゃんは{血が出ると痛い}と想像する。すると風香ちゃんは自身が出血すると{痛い}と脳が判断する。同じように例えば辛い食べ物はお母様が食べた辛い食べ物の刺激的な{匂い}を覚えてそこから{辛さ}を想像する。湯気が出ていたらその量から{熱さ}を想像する、、、そんな具合にな」

そう説明すると

「そんなこと、、、あり得るんですか?」

風香はそう聞く

「理論上ありえないことじゃない、、、だけどそんな事例無いからわからない」

零はそう答える

そして

「ちょっと左足に力を入れてみてくれないか」

いきなりそう言った

「え?はい」

(何したいの?、、、っ!)

「痛い!!」

脚に力を入れた瞬間痛みが走る

「だが今の結果からその可能性が大幅に上がった」

「ど、どういうことですか?」

「、、、今、風香ちゃんの足は俺がところどころにヒビを入れておいた」

「は?」

とんでもない言葉に風香は唖然とする

「普通なら起きてすぐに、、、少なくても歩いた瞬間に気が付く。完全に痛覚が無いなら力を入れても痛くはない。そこに意識した瞬間に痛みを感じるなんてもうそれしか思い浮かばない」

そんな風香に零はそう告げる

「そ、そんなこと、、、ありうるの?」

風香は信じられないと言った様子でそう言葉を漏らす

「俺は科学者だ。結果を俺は信じる」

「科学者って、、、というかさっき模擬戦闘を見ていたと言ってましたけど一般開放はされてなかったはず。零さん、、、あなた何者なんですか?」

風香がそう聞くと

「「っ!」」

風香の家族が息を飲む

「どうしたのみんな?」

風香がそう家族に問うと

「これがこのリビングの空気が終わってる理由の一つだ、、、これ俺の名刺だ」

零はそう言って懐から名刺を取り出し風香に手渡す

「え?」

そこには

「世界巫女管理局・本部研究所特別一級研究員 月詠零、、、月詠?!!!」

世界巫女管理局本部があるのは日本だ そして月詠と言えば

「世界巫女管理局長、、、月詠零花様」

浄化ノ巫女の最上位の存在である世界巫女管理局長・月詠零花と名字と名前の一部が合致している 

そこから考えられるのは

「ま、、、まさか月詠零花様の、、む、息子?!」

零が零花の息子という推測だ

「正解。これが家族写真な」

零は一枚の写真を取り出した そこには

「月詠零花様にその娘の百花様、、、そして零さん」

決定的な証拠があった

「改めて名乗らせてもらうよ命の恩人。俺は月詠零。世界巫女管理局・本局研究所特別一級研究員にして世界巫女管理局長・月詠零花の息子。百花の兄だ」

「う、、、嘘でしょ」

風香は信じられないと言った様子でそう呟く

「さて、、、そんな俺から一つ伝えなければならないことがある。立花風香さん、、、あなたの余命はあと1年だ」

そんな風香に零はさらに信じられないことを告げた

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