時間逆行


 A君が言う。地球には時差が有って時間の流れがある、と。だからつまり、その時間の流れを逆行することで歳はとらない、と。


 A君は金持ちだから、地球の自転に逆らい世界中を旅することができるだろう。

 金を気にすることなく、自由に世界を回ることができる。


 またある時A君はこう言った。

 その時間の流れをさらに遡れば過去の自分に会える、と。

 夢見がちなA君ではあったが、その行動力は凄かった。実際に世界中を旅したし、ことの詰まり彼は本当に過去の自分に会えたのかもしれない。


 しかし数十年後にA君からの連絡が途絶えた。こちらから何度連絡をしても返事はない。これは何か危険な目にあったに違いないと僕は思った。


 だが訃報が届くことはなかった。

 つまり死んではいないということ。僅かな希望があるものの、世界情勢の悪化からみると心配だ。


 僕はA君の親友にコンタクトをとることができた。そしてA君が今無事なのかを聞くと……


「Aは死んではいないが生まれてもいない」


 A君は本当に時間を遡ってしまったのか。今はもうA君の存在した軌跡が消えてしまっていた。

 A君の記憶だけが残り、その記憶さえも朧気になっている。




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上手く書けただろうか……。



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