第2話 鳥

スミレ「そっか。ということは、ヒントの『鷲神社』ではなくて・・・暗号の『トリあえず』から考えないといけないわけか」


のこ 「スミレちゃんの言う通りですね。『トリあえず』・・・『トリあえず』・・・これは第一に何かをする『とりあえず』という意味でしょうか?」


スミレ「でも、のこちゃん。これ、『トリ』がカタカナになってるじゃん。きっと、このカタカナに意味があるんだよ。そうだ。コピちゃん、のこちゃんの言った、第一に何かをする『とりあえず』の『とり』ってどんな漢字を書くの?」


copilot「はい、分かりました。・・・(パソコンを操作)・・・その『とりあえず』は、『取りあえず』で、『とり』の漢字は『取り』です。のこさんが言われたように、『取りあえず』というのは『ほかのことはさしおいて、まず第一に』という意味です」


スミレ「ということは、第一に何かをする『とりあえず』じゃないんだよ。『トリあえず』となってるということは、『トリ』と『あえず』を分けろって言うことなんじゃない?」


ハナス「そうよね。スミレちゃんの言うとおりだわ。『トリ』と『あえず』を分けて考えるのよ。でも、暗号の一部がカタカナの『トリ』になっていて、ヒントが『鷲(わし)』の『鷲神社』だなんて・・・これって、『トリあえず』の『トリ』は『鳥』の意味なのかしら? この暗号って、なんか、鳥に関係しているわね・・・」


のこ 「う~ん・・・『トリ』は『鳥』の意味?・・・あっ、ひょっとしたら、犯人の鳴井は鳥取県にいるんじゃないでしょうか?」


スミレ「鳥取県?」


のこ 「そうなんです。つまり、『トリあえず』には、二つの『とり』が考えられるわけでしょ・・・『トリ』と『取り』ですよね。で、『トリ』を『鳥』と考えたら・・・『鳥』と『取り』で『鳥取』でしょ」


スミレ「あ、そうか!」


ハナス「なるほど。のこちゃん、お手柄よ。『トリあえず』の『トリ』の部分は、その『鳥』と『取り』から『鳥取県』よね。では、のこちゃん、『あえず』の部分は何を意味してるの?」


のこ 「それなんですが、『あえず』は『会えず』だと思います。つまり、『トリあえず』とは、共犯者が鳴井と鳥取県で会えなかったことを指してるんですよ」


ともはっと「共犯者だって!」


のこ 「つまり、こういうことではないんでしょうか?・・・鳴井には共犯者がいて・・・共犯者は犯行後に、鳴井と鳥取県で会うことになっていた。しかし、鳴井は鳥取県に現れず、お金を一人で持ち逃げしてしまった。怒った共犯者が、警察に鳴井の居場所を示す暗号を置いた・・・」


ともはっと「なるほど。共犯者か!・・・それなら、警察に暗号が置かれていた理由が説明できますね」


スミレ「でも、のこちゃん。そうすると、犯人の鳴井は鳥取県にいるってのが、おかしくなるじゃん。だって、鳴井は鳥取県に来なかったんでしょ。共犯者が鳥取県で会えなかったんだから・・・」


のこ 「そ、そうか・・・・・」


さゆり「そ、そんな・・・・・」


ハナス「でも、スミレちゃん。のこちゃんの言うことにも一理あるわよ。この『トリあえず』は、『共犯者が警察に封筒を置いた理由』を伝えているんだと思うわ」


スミレ「じゃあ、ハナスちゃん。この暗号には、『鳴井の今の居場所』の他に、別の意味も隠されていると言うの?」


ハナス「そうなのよ。スミレちゃん。この暗号には、二つの意味が隠されているのよ。一つが『今の鳴井の居場所』、もう一つが、『共犯者が警察に封筒を置いた理由』を示す暗号なのよ。で、『共犯者が警察に封筒を置いた理由』は、きっと、のこちゃんの推理で正解なのよ」


のこ 「私の推理が当たっていたんですね・・・でも、そうなると、もう一つの意味の『今の鳴井の居場所』ってどうなるんでしょうか?」

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