第13話 セント村に訪れて……。
結果……。とある村に着くことができた。
「本当に真面目に浮遊魔法覚えようかな……」
「そのほうがいいかもしれませんね」
今度、魔導書店で浮遊魔法の本でも買おうかな……。この年で書くのはやはり、恥ずかしいが。
*****
セント村
最も王都に近い村であり、冒険者の町『アドベル』からも比較的近いため、多くの冒険者がここを訪れる。そのため、宿が異常に多いのだ。
「今日はセント村で一泊するか……」
ということになったので、ひとまず宿を探すことになった。
しかし、私たちはここで、衝撃的な真実を知ることになった。
「宿泊10,000G……。休憩8,000G……」
「ラブホじゃねーか!」
この村、冒険者用の宿屋と同じくらいラブホも多い、ラブホ街ならぬラブホ村だったのだ。しかも、それが区別されずにエリア化しているので、非常に分かりずらい。
「ラブホなら王都にも山ほどあるだろうに……」
「まぁ、王都のラブホは高いですからね……。30,000Gくらいしますし……」
「東京でもそんなにせんわ」
「ん?ユウト、そのトウキョウって何?」
「あ、えっと」
ユウトが聞いたことのない都市名を言ったので、私は一瞬、気になったが、まぁ放っておいた。
*****
「で……。ビジネ……。あ、違った、冒険者用宿の空きはあったの?」
ユウトがそう私に訊いてきた。
「私に聞くなよ、私はただの田舎少女だぜ?宿なんかにも全然泊まらないから、良し悪しも分からないし、その辺はアーシャに任せようか」
私がそう言うと、アーシャは笑顔で「了解です!」と一言言った後、飛び出していった、
「アーシャは人のために働くのが好きなのかな?」
「メイドとかやらせたらなんか萌えそう」
「メイドが萌えるって、ユウトは何を言ってんの?」
アーシャが宿を探している間、私たちは暇なので、二人そろって、魔導書店に行くことにした。ユウトにも魔法を使えるようになってほしいしな……。
魔導書店の扉を開けると、あのインクの独特の匂いが私たちの鼻を襲った。
「うわぁ……。無数の魔導書……」
私はとりあえず【浮遊魔法の習得】の魔導書を探した。やはり超メジャーな魔法なだけあって、すぐ見つかった。総ページ数、30ページ。ちなみに、転送魔法不可能の論文は同じ紙のサイズで考えると400ページ。
『浮遊魔法の心得』という本を300Gで購入し、ひとまず満足。私はユウトに魔導書選びはどんな調子かを訊ねた。
「いや、俺、文字読めないし」
「あ、そうだったっけ?逆に何だったら読めるの?」
「日本語」
聞いたことのない言語名だった。
どんな字体をしているのか見せてくれと言って、紙を渡すと、彼はすらすらと文字を書いたが、その文字を私は読むことができなかった。
「これ、なんて書いてんの?」
「………………言えない」
彼は少し、頬を赤らめて言った。
私は勇者じゃありません!! 端谷 えむてー @shyunnou-hashitani
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