第9話 勇者を探す旅

 というわけで仲間が増えました!ようやくパーティー申請ができます!

 ちなみに、あのシスターの名前はアーシャというらしい。うん、いい名前!


「で、パーティー申請はできたけど……。どうすればいいんだろう」

「リリーナが勇者なんだったら、まぁ魔王倒すのが普通なんだろうけど、リリーナは勇者じゃないんだろう?」

「うん……」


 もしかしたら、私、何もしなくていいのでは?と一瞬思ってしまったが、思い出してしまった。私の背中には勇者の剣があることを。


*****


 古代書には勇者のことについて他にこんなことが書いてあった。


『勇者、勇者の剣を持たぬ限り、勇者の力、目覚めることなし


 つまり、私がこの勇者の剣を持っている限り、本物の勇者の力を目覚めることはないのだ。


 私は発売された古代書のコピー(印刷の魔法で印刷したもの)を見て震えていた。


「これが分かって私が全然勇者じゃないってバレたら絶対首はねられる!」


 そんな私をアーシャは優しく撫でた。


「大丈夫ですよ!たとえそうなっても、死後、神様がお救いくださいます!」

「いや、そういう問題じゃあ……」


 いや、まぁ聖職者なわけなのだから、この言葉はまぁ、間違ってはいないのかもしれないが……。

 私が恐怖を覚えている間、ユウトは何か考えている様子であった。

 そして、何かを思いついたようにユウトは発言した。


「それじゃあ、勇者を探す旅をすればいいんじゃない?」

「「勇者を探す旅?」」


 女子二人は首を傾げた。


「だから、勇者を探して、その剣を渡すのよ(どうせ、このまま作の連絡待つのも暇やし)」

「え~ダル」

「いえ、行きましょう!神のお導きを感じます!」


 何故か、アーシャはやる気だ。


「じゃあ、二対一で行くということに」

「なんやそれ」


*****


「で、その勇者の情報ってあるの?」


 ユウトは私に訊ねてきた。


「ああ、古代書によると、『未界より来る勇者、魔王打ち倒すもの也』とのことから、異世界から来た者が勇者であって、その勇者が魔王を倒すらしい」

「……手がかり、少ないですね」


 アーシャは困ったような顔をした。


「あの……。それって俺じゃあ……」


 彼は自信なさげに挙手をした。

 確かに、彼は「異世界から来た」と言ってたし、こう言うならば、一番理にかなっている。何故、今まで気づかなかったんだろう。

 それに、これは私の知らないことだが……。彼はここに来る前……。作から「お前は勇者扱いされる」と言われた。彼はそのことをあまり興味を持って聞いておらず、既にこの時はそのことを忘れていたようだが……。


「とりあえず、これ」


 私は勇者の剣を彼に渡した。


「重いなぁ……。これ」


 彼はそれを持ってみるが、特に反応はなかった。


「やっぱり、違うのかな……」


 結論、彼はやはり勇者じゃなかったことにした。


*****


 これは、まだ現代の人類に見つかっていない古代書のページに書いてある文章の一部である。


『勇者、十分な魔力を持っていない時、その者が勇者の力を持っていたとしても、勇者の力目覚めることなし。勇者及び、人の魔力、経験を積む度、強くなる。人の魔力、人の身体の成長とともに魔力の成長値、衰える。しかし、勇者の魔力、成長値の衰え知らず』

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