第5話 仲間探し

 何とか仲間を一人、作ることができた。

 しかし、何が目的かも、どこから来たのかも分からない。名前は確か、ユウトと言ったか。

 彼は奇妙だ。

 まず、この世界の常識をまったくもって知らない。

 魔法の存在すらも知らなかったのだ。他にも、魔王とか、魔物とかの存在もまるで夢物語を見ているかのような感じと言った。

 まるで、別の世界から来た人物のようだ。

 つまり、あの人が勇者………………?!


 だったらいいのになぁ……。

 多少、彼が勇者であるならば、と期待をしてしまったが、考えてみればあんな奇妙な行動で、変な服を着てる男が勇者のわけがない。たとえ、古代書に勇者が異世界からの人物だったとしても、アレはない。

 それで、私は完結させた。


*****


 それから、朝になった!

 さわやかな朝とは言えないな。もう、昼だ。

 彼は私が寝ている朝の時間、一体何をしていたのだろうか。


 とりあえず、私は宿を出て、彼を探してみることにした。

 しかし、この町は結構広い、この町全部を探し回って彼を見つけるのは骨が折れる。

 だから、私は聞き込みをすることにした。

 どうせ、しばらくはここにいることになるだろう。少なくともユウトが十分に戦えるようになるまでは、だからこの町のコミュニティを広げる機会にもなるから、一石二鳥だ。


 というわけで、まず外に出てすぐ、結構長くそこにいて話してそうな冒険者たちに声をかけた。


「朝に変な服着た男が出ていきませんでした?」

「お、勇者様じゃん!」


 彼らは私が尋ねてきたことに関して盛り上がっていた。こういう感じ、困るなぁ……。私、ホントに勇者じゃないのになぁ……。


「あ、ちなみに、なんか貴族みたいななんか、よそよそしい格好していた男がなんか飛び出していきましたよ」


 恐らく、この情報はユウトの話だろう。確かに、彼が言っていた『学校の制服』は貴族の服に酷似している。まぁ、そういう催しに田舎者である私は出たことなどないから、そんなもの見たことないのだが……。


「ありがとうございまーす!」


 私は彼らに礼を告げ、この場を去った。

 この後、彼らの話は私に関しての会話になるであろう。しかし、そんなこと私には関係ない。興味もない。


*****


 彼らが「飛び出したよ」と言った時の指差した方向を参考にするならば、彼が行ったのはやはり、たくさんの店が立ち並ぶ広場だ。店と同じく、人も多い。結構窮屈だ。


「こんな人多いと、人探しなんかできやしない!」


 私はとりあえず、この場から離れることにした。やはり、何かを探るには俯瞰ふかんするのが一番手っ取り早い。やはり、魔法使いらしく、高いところから見下ろして、彼を探してみるのがいいだろう。


 あ、私飛べなかった。


 本来、空飛ぶ魔法、浮遊魔法というのはとても難易度の低い魔法でその気になれば、5歳児でも習得が可能だ。

 しかし、私は長年、あの変な研究をしていたため、浮遊魔法を習得することを完全に忘れていた。

 魔法使いの大半が使える浮遊魔法を持っていなくて、魔法使いの大半が持っていない最上爆破耐性を持っている変な魔法使いです。

 私は諦めて、宿の待合室にて、お茶をしながら、彼のことを待つことにすると、


「あ、起きてたんですね」


ものの10秒で帰って来た。

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