第4話 転送物語

 俺の名前は榊原優斗さかきばらゆうと。男子高校生だ。

 この作品は異世界系であるから、読者はいきなり男子高校生といわれて混乱しているかもしれない。だから、ここでわかりやすくはっきりと言及しておくのだが、俺は日本の住人だ。

 俺の友達には変な部活に入っているやつがいる。それは工作部である。

 工作部なんて普通じゃないかと思うだろうが、活動内容がどう考えてもおかしいのだ。


 我が高校、小田中東高校工作部が作成しているのは異世界ゲートだ。

 もう一度言おう、異世界ゲートだ。


 そんな変なものを作っている部活の部室に俺は何故か呼ばれた。


「で、なんの用なの?」

「お、優斗、来たか」


 そこには俺の友人、河野作こうのさくただ一人だけだった。


「今日の用件は優斗には異世界に行ってもらいます!勿論、未知の」


 俺は部室の出口に向かった。


「待って!待って!なんで、そんな帰る足を止めないの?!」

「そんな馬鹿馬鹿しい話に応じるやつがいると思うか?」

「うん。お前」


 こいつは果たして、今の状況を理解しているのだろうか。


「ほら、今から行くところは君は勇者という設定になっているからさ……。多分ちやほやされると思うよ」

「そんなんで、行こうと思うほうがおかしい」

「あ~もう、うぜぇ、強制送還してやる」


 作はそう言って、やばそうなボタンを押した。

 すると、おれの身体はその場で青白く光り、ばらばらになってどこかに転送されようとしていた。


「それ、遠隔操作できるんかよ!」


 その捨て台詞と共に俺はこの世界を去った。


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